これぞ日本のエンタメの底力! 『リボルバー・リリー』綾瀬はるかが挑んだ怒涛の銃撃戦

『リボルバー・リリー』綾瀬はるかの美しさ

 一方、映画終盤に待ち受ける怒涛の銃撃戦は、いくつもの場面転換を加えながら30分以上にわたって連続していく。場面も空間も巧妙に転換しながら徐々に激しさを増していく一連は、アクション映画としてもあまりにも贅沢だ。雨の降る街の路地裏での津山(ジェシー)との格闘に始まり、深い霧に包まれたなかでの見えない銃撃戦。南との決斗はさながらウエスタン映画のような緊張感があり、クライマックスの陸軍との激戦はクリント・イーストウッドの『ガントレット』を想起させる。往年のアクション映画のエッセンスが随所に散りばめられるという若々しさを見せつけられたとなれば、これまでの行定映画とは違うベクトルで好きにならずにいられない。

 それにしても、百合役を演じた綾瀬はるかが想像以上にこのキャラクターにしっくりきていたのは驚きである。彼女のパブリックイメージといえば、優等生キャラに始まり、全体的におっとりした役柄が多く、たしかに過去には元工作員の主婦を演じた『奥様は、取り扱い注意』や女座頭を演じた『ICHI』でもアクションをこなしているとはいえ、本作ではそれらとはまた異なる印象を放つ。

 というのも、彼女が劇中で見せるアクションシーンの大部分はタイトルからもわかる通り銃ーーそれも銃身の細長い回転式拳銃であり、その造形とやや長身の綾瀬がそれを構えた瞬間のフォームが非常に美しくまとまっているからであろう。霧のなかで長い手を伸ばしたシルエット、体を翻して構え直しても一切ぶれない体幹の良さ。実にスマートに“暗殺者”という役柄を演じ抜いたことで、この作り込まれた世界にこの上ない真実味をもたらしていることはまちがいない。

 2月14日にリリースされる本作のBlu-ray&DVDの豪華版には、70分以上のメイキング映像を収めた特典ディスクが封入されている。そこにはリッチに作り込まれた美術やアクションシーンの舞台裏、さらに綾瀬をはじめとしたキャスト陣の談話なども豊富に収録されており、本作がどのようにして作られたのかを知ることができる。大掛かりな近代の街並みのセットのなかで繰り広げられるアクション&サスペンスといえば、過去にも大森一樹の『T.R.Y.』や入江悠の『ジョーカー・ゲーム』といった傑作がある。この『リボルバー・リリー』もそれらに追随する、日本のエンタメ映画の底力を感じさせる一本ではないだろうか。

■リリース情報
『リボルバー・リリー』
2月14日(水)Blu-ray&DVD発売
豪華版Blu-ray:7,700円(税込)
豪華版DVD:6,600円(税込)
通常版Blu-ray:5,500円(税込)
通常版DVD:4,400円(税込)

【豪華版/仕様・封入特典】
・三方背ケース
・ブックレット

【豪華版/映像特典】
<本編ディスク>
・予告集
<特典ディスク>
・メイキング 
・イベント映像集
※特典ディスクはDVD

【通常版/映像特典】
<本編ディスク>
・予告集

出演:綾瀬はるか、長谷川博己、羽村仁成、シシド・カフカ、古川琴音、清水尋也、ジェシー、佐藤二朗、吹越満、内田朝陽、板尾創路、橋爪功、石橋蓮司、阿部サダヲ、野村萬斎、豊川悦司
原作:長浦京『リボルバー・リリー』(講談社文庫)
監督:行定勲
脚本:小林達夫、行定勲
音楽:半野喜弘
企画・プロデュース:紀伊宗之
エグゼクティブ・プロデューサー:和田倉和利
プロデューサー:高橋大典、石塚紘太、溝畠三穂子
撮影:今村圭佑
照明:中村裕樹
美術:清水剛
録音:伊藤裕規
装飾:田口貴久
編集:今井剛
シニアVFXスーパーバイザー:尾上克郎
衣装デザイン監修:黒澤和子
ヘアメイクデザイン:稲垣亮弐
スタントコーディネーター:田渕景也
配給:東映
制作プロダクション:シネバザール、エピスコープ
制作協力:東映東京撮影所
製作:「リボルバー・リリー」フィルムパートナーズ
発売元:株式会社ハピネット・メディアマーケティング
販売元:株式会社ハピネット・メディアマーケティング
©2023「リボルバー・リリー」フィルムパートナーズ

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