エマ・ワトソン、グレタ・ガーウィグに続く歩み 『ハリー・ポッター』ハーマイオニーの今

『ハリー・ポッター』エマ・ワトソンの今

 2001年から始まり、10年間にわたって続いてきた『ハリー・ポッター』シリーズは、多くの若手スターを輩出し、映画界に新しい風を吹き込んだ。このシリーズの中で、特に輝かしい成功を収めた人物といえば、主人公ハリーの冒険を支える少女・ハーマイオニー役を演じたエマ・ワトソンではないか。彼女は9歳の時、イギリス全土で開催されたオーディションに参加し、その幼さを感じさせない自信に満ちた振る舞いでディレクターやプロデューサーを驚かせたという。

 後半につれて、物語展開がシリアスになっていく『ハリー・ポッター』シリーズ。第3作目となる『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(2004年)では、謎の人物シリウス・ブラックの秘密を探るにあたり、ハーマイオニーの切れ味鋭い分析がハリーを助ける。優等生だが、自分の意見ははっきりと伝える。そんなちょっと気の強いハーマイオニーに、憧れたファンも多いはず。当時作品をリアルタイムで観ていた私の周りでは、「ハリー・ポッターごっこ」でハーマイオニーが3人になった記憶がある(それだけハーマイオニーが魅力的なキャラクターということだ)。

金曜ロードショー『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』
『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』© 2024 Warner Bros. Entertainment Inc. Harry Potter and Fantastic Beasts Publishing Rights © JKR

 2009年、ワトソンは「過去10年間で最も興行収入を稼いだ女優」という称号でギネス世界記録に名を刻んだ。現在の彼女は俳優業だけに留まらず、フェミニズムの活動家としても知られている。『ノア 約束の舟』(2014年)、『ザ・サークル』(2017年)など、話題作に続々と出演し、多様な役柄で才能を発揮してきたワトソン。『ハリー・ポッター』シリーズでの活躍の余韻を残し、彼女はその後も映画界での地位を固めていった。

 2017年の実写映画『美女と野獣』では、ワトソンが歌声も披露し、作品は世界的な大ヒットを記録した。主演を務めた彼女には、以前ディズニーから『シンデレラ』(2015年)の主役のオファーもあったが、「シンデレラのキャラクターに共感できない」という理由で辞退している。本作で彼女が演じた、知的且つ好奇心旺盛なベルの姿は、ワトソン自身にピッタリ重なるキャラクターでもあった。

 現在ワトソンは、2019年の『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』出演を最後に俳優業から一旦離れている。俳優業から離れた彼女は、監督としてのキャリアを歩み始めていた。

『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』予告1 3月27日(金)全国公開 第92回アカデミー賞6部門ノミネート

 2022年、ワトソンは「プラダ」の新フレグランス「Paradoxe(パラドックス)」のキャンペーンで短編映画を発表し、監督デビューを果たす。この映画で彼女は、監督、ナレーター、脚本家、女優として多彩な才能を発揮した。

 “Paradoxe”のコンセプトは、社会のプレッシャーや規範に逆らうように自分らしく生きること。まさに、自分軸で生きる聡明なワトソンにぴったりな監督デビューの場となったのではないか。その後監督として大きな動きはまだ報じられていないものの、「監督エマ・ワトソン」の新章に期待が募る。

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