『哀れなるものたち』再び北米トップ10 “無風の1月”も水面下ではアカデミー賞戦略進む

『哀れなるものたち』北米トップ10返り咲き

 アカデミー賞の候補発表に先駆けて、ほかにも複数の有力作が公開規模を拡大中。第11位『American Fiction(原題)』は225館増、同じくサーチライト製作の『異人たち』(日本公開4月19日)は175館増、5月24日に日本公開が決まった『関心領域』(原題:Zone of Interest)も公開6週目で82館上映(前週比+57館)となった。クリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』も、再び115館を追加して計254館での上映となっている。

I.S.S. | Official Trailer

 そのほか今週は、国際宇宙ステーションを舞台とした近未来SFスリラー『I.S.S.(原題)』が初登場。2250館での公開ながら週末3日間で302万ドル、第7位の発進という厳しい結果となったほか、Rotten Tomatoesのスコアは62%、出口調査に基づくCinemaScoreでは「C-」評価と、批評家・観客の反応もかなり渋い。主演は『ウエスト・サイド・ストーリー』(2022年)や『ウィッシュ』(2023年)のアリアナ・デボーズ、監督は『Our Friend/アワー・フレンド』(2019年)のガブリエラ・カウパースウェイト。

ORIGIN - Official Trailer

 また、『グローリー/明日への行進』(2014年)のエイヴァ・デュヴァーネイ監督による伝記映画『Origin(原題)』も第14位にランクイン。2023年12月8日~10日の3日間のみ先行上映されていたが、いよいよ本格公開を迎え、125館で87万ドルを記録した。

 原案はベストセラー・ノンフィクション『カースト アメリカに渦巻く不満の根源』で、出演者は『ドリームプラン』(2021年)のアーンジャニュー・エリスのほか、ヴェラ・ファーミガ、ジョン・バーンサルら。配給のNeonはアカデミー賞を含む各映画賞での健闘に期待しており、今後数週間にわたって公開規模をゆるやかに広げる作戦だという。

北米映画興行ランキング(1月19日〜1月21日)

1.『Mean Girls(原題)』(→前週1位)
1170万ドル(-59.1%)/3826館(+25館)/累計5004万ドル/2週/パラマウント

2.『The Beekeeper(原題)』(→前週2位)
848万ドル(-48.8%)/3330館(+27館)/累計3113万ドル/2週/Amazon・MGM

3.『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』(→前週3位)
644万ドル(-23.9%)/3136館(-210館)/累計1億8716万ドル/6週/ワーナー

4.『Anyone But You(原題)』(→前週4位)
540万ドル(-24.2%)/2928館(-7館)/累計6422万ドル/5週/ソニー

5.『FLY!/フライ!』(→前週5位)
530万ドル(-15%)/3094館(-130館)/累計9467万ドル/5週/ユニバーサル

6.『アクアマン/失われた王国』(→前週6位)
365万ドル(-30.4%)/2423館(-318館)/累計1億1419万ドル/5週/ワーナー

7.『I.S.S.(原題)』(初登場)
302万ドル/2518館/累計302万ドル/1週/Bleeker Street Media

8.『Night Swim(原題)』(↓前週7位)
270万ドル(-41.8%)/2708館(-549館)/累計2375万ドル/3週/ユニバーサル

9.『The Boys in the Boat(原題)』(↓前週8位)
253万ドル(-26.2%)/2012館(+5館)/累計4386万ドル/4週/Amazon・MGM

10.『哀れなるものたち』(↑前週13位)
204万ドル(+14.2%)/1400館(+820館)/累計2039万ドル/7週/サーチライト・ピクチャーズ

(※Box Office Mojo、Deadline調べ。データは2024年1月22日未明時点の速報値であり、最終確定値とは誤差が生じることがあります)

参照

https://www.boxofficemojo.com/weekend/2024W03/
https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-news/mean-girls-tops-slow-box-office-1235794474/
https://variety.com/2024/film/box-office/iss-opening-weekend-mean-girls-1235880596/
https://deadline.com/2024/01/box-office-mean-girls-weak-winter-weekend-1235799017/
https://deadline.com/2024/01/indie-film-box-office-origin-strong-opening-neon-ava-duvernay-1235799682/

■公開情報
『哀れなるものたち』
1月26日(金)公開
監督:ヨルゴス・ランティモス
出演:エマ・ストーン、マーク・ラファロ、ウィレム・デフォー、ラミー・ユセフほか
原作:『哀れなるものたち』(早川書房刊)
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
2023年/イギリス/原題:PoorThings
©2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.

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