『終わらない週末』はなぜ批評家と観客の間で評価が割れているのか? ネタバレありで解説

『終わらない週末』をネタバレありで解説

 週末を家族で穏やかに過ごそうとしていたら、刻々と“終末”が迫っていた……! そんな、おそろしいシチュエーションを、豪華キャストでサスペンスフルに描いていく話題作が、Netflixで配信中の『終わらない週末』だ。

 近年、ポール・トレンブレイの原作小説をM・ナイト・シャマランが映画化した『ノック 終末の訪問者』(2023年)や、ノア・バームバックがドン・デリーロの小説を映画化した『ホワイト・ノイズ』(2022年)など、既存の社会の崩壊を題材として話題となった作品が目立っているように、本作『終わらない週末』もまた、ドラマシリーズ『MR. ROBOT/ミスター・ロボット』のクリエイター、サム・エスメイル監督が、作家ルーマン・アラムが書いた、家族が終末の危機に巻き込まれるという内容の原作を映画化している。

 そんな本作は興味深いことに、アメリカの批評サイトにおいて、批評家が高く評価しながら、現時点で一般の観客の反応が、あまり芳しくないという結果となっている。ここでは、噛めば噛むほど味の出る本作『終わらない週末』の内容を振り返りながら、なぜそのようなことになっているのか、理由を掘り下げていきながら、そこで何が描かれていたのかを、ネタバレありで考えていきたい。

終わらない週末

 マンハッタンに住むサンドフォード一家は、妻のアマンダ(ジュリア・ロバーツ)と夫のクレイ(イーサン・ホーク)、息子のアーチー(チャーリー・エヴァンス)、娘のローズ(ファラ・マッケンジー)の4人家族みんなで、ニューヨーカーの避暑地としても知られる、ロングアイランドにやってきた。ちょっと無理をして、およそ2000ドルを払ってリッチな邸宅をレンタルし、週末を優雅に過ごそうというのだ。しかし、なぜか電波やインターネットが繋がらなくなったり、巨大なタンカーがビーチに突っ込んできたり、邸宅のそばに森から鹿が集まってきたりと、不穏な出来事が次々に起き始める。

 そんなサンドフォード一家のもとに、この邸宅を別荘として使っている家主を名乗る、ジョージ(マハーシャラ・アリ)と、その娘のルース(マイハラ)が、突然訪問してくる。そして、レンタル料を半額返すという条件で泊めてほしいと願い出るのだった。じつは、この2人もマンハッタンに自宅があり、大規模な停電騒動に遭って、この別荘に避難してきたというのだ。また、ジョージの妻は別行動をしていて、連絡が取れない状態になっているという。

終わらない週末

 お人好しで少々気の弱そうなクレイは、快く同意するのだったが、“人間嫌い”を自称するアマンダは、一緒に過ごすことになっても、なかなか2人を信用することができないし、とくにルースとは、お互い嫌い合って犬猿の仲となっていく。そうこうしているうちに、外界の状況はどんどん異常さを増していき、人がいなくなってゆく。双方の家族は、互いを完全には信じきれないまま、協力しながら真相を調べ、生き延びる道を模索していくのだった。

 本作が興味深い点は、次々に起こる異常事態の原因に、なかなか迫れないというところだ。それはあたかも、「サスペンスの帝王」の異名をとるアルフレッド・ヒッチコック監督の映画『鳥』(1963年)が、無数の鳥が人間を襲い始めるという状況を不気味に描きながらも、なぜそんなことになったのかについては明かさないという展開に似ている。

終わらない週末

 本作に不満を持つ観客の多くは、まさにそれがフラストレーションの基になっていると考えられる。本作のサンドフォード家の娘ローズは、1994年から10年間放送された、自分が生まれてもいない時代の大ヒットドラマ『フレンズ』にハマっていて、その最終話の結末を知りたがっているという設定があるが、本作の観客もまた、結末で明かされることになるだろう、異常事態の真相が気になってしまうはずだ。しかし、その疑問は一向に解消されることがない。皮肉にも、ローズが奇妙な巡り合わせから、『フレンズ』の結末へとたどり着くのとは対照的に。

 異変や謎が描かれるのに、その原因がわからないままというのは確かにスッキリしないし、「時間を無駄にした」と感じる観客がいるのも無理はない。だが、もちろん原作が存在して大勢のスタッフやキャストが稼働している本作が、アイデアが思いつかないからだとか、予算がないからという理由で、はっきりとした結末を用意しなかったわけではないということも明らかだろう。つまり本作は、事態の原因を描くことには価値を見出していないということなのだ。

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