『呪術廻戦』乙骨憂太の「怪我はない?」に歓喜 最終回で考える「渋谷事変」構成の巧みさ

『呪術廻戦』久しぶりの乙骨憂太に歓喜

 そんな中、呪霊に襲われそうになっていたひとりの少女を救ったのが、海外から帰国した乙骨憂太。「渋谷事変」ではどこまで描かれるのか未知だっただけに、乙骨の登場にSNSでは大いに湧いた。緒方恵美の「怪我はない?」という優しい声を久しぶりに聞くことができて素直に嬉しい。だが、そんな穏やかなシーンから一転して、呪術総監部から乙骨に対し虎杖の死刑執行役としての任務が与えられる。乙骨の「虎杖悠仁は僕が殺します」の表情は冷酷そのものだが、到底上層部の話を素直に受け入れるとは思えない。

 また、最終話では禪院直哉の登場シーンや虎杖と脹相の会話は丸々カットされ、虎杖が橋の上で両手を上に掲げて手を叩いて、呪霊をおびき寄せるシーンで終わった。七海の死や釘崎野薔薇の負傷、因縁の相手である真人との戦闘など、虎杖にとってこの「渋谷事変」とは自身のスタンスを改めて考えさせられた契機となった。自分が何を指針に生きていかなければいけないのか、その考え方が確立された大切なチャプターである。

『呪術廻戦』

 ひとつのチャプターの区切りとしては上手な終わり方だったと言えよう。「死滅回游」が放送されることが発表されているように、直哉の登場は後の楽しみだ。この先、「渋谷事変」以上に重たい話が続いていくだけに、それに耐えられるのかというところも心配だが、まずはここまでのクオリティで最後まで描ききってくれた全ての方に感謝を告げたい。

■配信情報
TVアニメ『呪術廻戦』第2期
各配信サイトにて配信中
キャスト:榎木淳弥、内田雄馬、瀬戸麻沙美、中村悠一、島﨑信長、櫻井孝宏、諏訪部順一、三瓶由布子
原作:『呪術廻戦』芥見下々(集英社『週刊少年ジャンプ』連載)
監督:御所園翔太
シリーズ構成・脚本:瀬古浩司
キャラクターデザイン:平松禎史、小磯沙矢香
副監督:愛敬亮太
美術監督:東潤一
色彩設計:松島英子
CGIプロデューサー:淡輪雄介
3DCGディレクター:石川大輔(モンスターズエッグ)
撮影監督:伊藤哲平
編集:柳圭介
音楽:照井順政
音響監督:えびなやすのり
音響制作:dugout
制作:MAPPA
「渋谷事変」オープニングテーマ:King Gnu「SPECIALZ」(Sony Music Labels)
「渋谷事変」エンディングテーマ:羊文学「more than words」(F.C.L.S./Sony Music Labels)
©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会
公式サイト:https://jujutsukaisen.jp

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