『みなと商事コインランドリー2』反復が生むときめきと痛み 湊とシンに訪れた2度目の夏
好きな人にただ愛していると言うことが、どうしてこんなに難しいのだろう。まるで昔のラブソングみたいだけど、きっとそれは恋愛における永遠のテーマだ。
『みなと商事コインランドリー2』(テレビ東京系)は、そんな恋愛の命題をストレートかつピュアに描いたドラマだった。
2人の笑顔を願ったあの夏の日々を僕たちは幸せと呼んだ
前作の最終回でついに想いを通わせ合った湊晃(草川拓弥)と香月慎太郎(西垣匠)。その3カ月後から物語は幕を開ける。と言っても、2人の日常は変わらない。シンは相変わらず愛重めで、湊さんは直球すぎる10歳年下の恋人の愛情表現に戸惑うばかり。むしろシンに対する想いを自覚したからこそ、湧き上がるいとしさに湊さんは余計に振り回されている。
もともと前作も、恋に傷つき、人を好きになることに臆病になった湊さんが「シンのこと、誰よりも好きなんだよ!」と伝えられるようになるまでの物語だった。ようやく勇気を振りしぼって、想いを告げることができたのに、まるで振り出しに戻ったみたいに、湊さんはまた口下手になっている。
何がそんなに湊さんをためらわせているのか。愛されている自信がないわけじゃないと思う。だって、シンの視線はいつだって迷うことなく湊さんに向かっている。じゃあ、やっぱり10歳も年上だということが引け目なのだろうか。あるいは、ひと目見たときからタイプのイケメンと、自分が釣り合わないと思っているのだろうか。
確かにそういう面もあるかもしれない。でも、いちばんの理由はきっと違う。シンのことが好きだから。付き合う前より、もっともっと好きになったから。一緒に過ごす時間が増すほどに、どんどん好きになっているから、言葉にできなくなった。
簡単に好きだと言えなくなったのは、本当にあなたのことが好きだから。これもまた昔のラブソングみたいだけれど、心が通じ合った2人の前に立ちはだかることができるのは、新しいライバルでも、意地悪な神様でもない。自分自身なのだ。『みなと商事コインランドリー2』は、シンのことが好きになりすぎて、つい足がすくんでしまう湊さんが一歩前へ踏み出すための勇気の物語だ。
初恋の相手・佐久間先生(福士誠治)の前で交際宣言をした夕暮れのプールサイド。お酒の力を借りて「晃って呼ばねえの」とすねてみせた湯河原の温泉旅館。お揃いのブレスレットをプレゼントしたシンの2度目の誕生日。少しずつ湊さんは自分の気持ちに素直になっていく。そのやりとりをみているだけで幸せになれた。2人の未来には、きっとこれからも楽しい出来事がいっぱい続いていくのだと信じていた。
けれど、“ある事件”が2人を引き裂く。まるで砂浜に描いた絵を波がかき消していくように、2人のすべてをさらっていく。でもこの事件こそが、湊さんが最後の壁を乗り越えるために必要なステップなのだ。そして、そんな湊さんを応援し、2人の笑顔を願ったあの夏の日々を僕たちは幸せと呼んだ。