Netflix版『幽☆遊☆白書』最速レビュー 原作の壁を超えた“アクション全振り”な一作に
北村匠海主演のNetflixシリーズ『幽☆遊☆白書』の配信が12月14日からスタートした。いち早くレビューをお届けしたい。
まずは簡単におさらいしておこう。原作は冨樫義博によるメガヒットコミック。1990年に『週刊少年ジャンプ』で連載が始まり、コミックスは累計5000万部を突破。『ジャンプ』黄金時代を支えた作品の一つだった。1992年からはTVアニメの放送もスタートし、平均視聴率17.6%と大成功を収めている。正真正銘のビッグタイトルだ。
ストーリーは、交通事故で死亡して幽霊になった不良学生の浦飯幽助が生き返り、霊界探偵として活躍。さまざまな妖怪たちと死闘を繰り広げるというもの。幽助とともに戦う主要キャラクターの蔵馬と飛影が爆発的な人気を博した。原作とアニメでは「霊界探偵編」の後、「暗黒武術会編(戸愚呂兄弟編)」、「魔界の扉編(仙水編)」、「魔界統一トーナメント編(魔界編)」へと続いていく。
今回の実写ドラマは「暗黒武術会」の設定を大胆にカット。子どもを助けるために交通事故で死亡した浦飯幽助(北村匠海)が霊界案内人のぼたん(古川琴音)と出会い、コエンマ(町田啓太)から霊界探偵の任務を与えられて復活。盗賊の妖怪・蔵馬(志尊淳)、飛影(本郷奏多)、不良の桑原和真(上杉柊平)と共に、魔界と人間界をつなげようとする左京(稲垣吾郎)のたくらみを阻止するため、左京が雇った戸愚呂兄(滝藤賢一)、戸愚呂弟(綾野剛)と戦うという物語になっている。原作の序盤にあったコメディー色は抑えられており、ダークでシリアスな雰囲気が強い。
全5話ということもあって展開は実にスピーディーだ。月川翔監督が「単純にエンターテイメントとして楽しめる映像作品を目指しました」と語っているように、個性的な登場人物たちのキャラクター性を活かしつつ、バトルシーンに最大限注力しているので、最初から最後まで一気に観ることができる。(※)
北村匠海、Netflixシリーズ『幽☆遊☆白書』で浦飯幽助役に 「笑うしかありませんでした」
2023年12月に配信されるNetflixシリーズ『幽☆遊☆白書』の主人公“浦飯幽助”役が北村匠海に決定し、あわせてコメントが到…
第1話の冒頭、しつこくケンカを売ってくる桑原に向けて幽助が放った高角度のドロップキックを観て「この作品のアクションのキレは一味違う!」と予感し、その直後に幽助が遭ってしまう交通事故を観て「この作品はヤバい!」と確信した。アクション監督は『HiGH&LOW』シリーズを手がける大内貴仁が担当。『HiGH&LOW』では集団抗争アクションのエネルギーが爆発していたが、『幽☆遊☆白書』ではダイナミックかつスピード感あふれるタイマンアクションが炸裂している。
ド派手なアクションシーンにはVFXも全面的に活用された。蔵馬の薔薇棘鞭刃(ローズ・ウィップ)は実写で見事に再現されていたし、飛影の邪王炎殺黒龍波もイメージ通り。桑原の霊剣はなかなか出てこなかったが、出てきたときは「待ってました!」という気分になった。圧巻なのは戸愚呂兄弟だ。巨大な体躯を誇る戸愚呂弟と、その肩に乗っている小柄な戸愚呂兄。まさかこのビジュアルが実写で観られるとは思わなかった。
『幽☆遊☆白書』には、MCU作品やモンスター・ヴァース作品など、これまで数多くのハリウッド作品を手がけてきたスキャンラインVFXのVFXスーパーバイザー・坂口亮が参加。同社がロサンゼルスに構えるEyeline Studiosに戸愚呂弟を演じる綾野剛と戸愚呂兄を演じる滝藤賢一が出向き、表情の演技を集中的に撮影している。身体を自在にパンプアップさせる戸愚呂弟と、身体を様々に変化させる戸愚呂兄の姿をCGで表現するには、ハリウッドの力が必要だったのだ。このような座組が実現できたのはNetflixならではだろう。