『コタツがない家』かわいすぎるチョーさんが深掘家を救う 小池栄子の作品屈指の名言も
赤いマフラーを取りながら若干アゴを尖らせた小池栄子の仕草はアントニオ猪木をモチーフにしていることは間違いないが、やはり本作の醍醐味はその丁々発止の会話劇である。あの手この手でどうしても離婚がしたい悠作のジャブに対して、万里江は温存しておいた必殺の右ストレートを繰り出す。
それがワラサ。「私が来年も再来年もあなたとここで一緒に暮らしたいと思う気持ち。略してワラサ」。前段がなければ酔っ払ってると誤解する悠作の気持ちも分からなくもないが、出世魚であるブリを例えにした、結婚当初の好きの気持ちをモジャコだとすれば、ワカシ、イナダと成長していきブリの一歩手前のワラサで止まっているのが今。悠作と思いっきりぶつかったり、絶望したり怒ったり、たくさん泣いたり笑ったりしたこと、全てが万里江のエネルギーになっていた。何にもしないこと、それは世間一般的にはダメでクズであることには変わらないが、志織たちがお似合いだとくっつけようとしていた土門(北村一輝)にはない、悠作だけの取り柄であり、万里江が惹かれた離婚したくない理由と言える。
しかし、それは悠作が漫画を描けなくなることを意味するが、30年後に離婚してもいいじゃないと提案する万里江。「30年後もこうやってあなたと言い争いしてたいの。ぶつかりあいたいの。それが幸せなことだって、やっと気づいたのよ」という万里江のセリフは、本作全体での名言の一つに数えられよう。そして、悠作が根負けする決定打となるのが、すり寄ってきたネコのチョーさん。親権争いの末に、このかわいいチョーさんとも離れ離れになるのはつらい……。というのは建前かもしれないが、そんな寂しそうな顔で悠作は離婚届を丸めてチョーさんのおもちゃに。決戦めしが、達男が釣ってきたワラサの刺身というのもいい。
次週はついに最終回。深堀家の離婚問題も一件落着かと思いきや、ダメ男三人衆が最後の大暴れをすることも予告されている。そして、万里江が結婚式をプロデュースしている酒井ひかる(富田望生)から聞かれた、夫婦円満の秘訣の答えは果たして。
■放送情報
水曜ドラマ『コタツがない家』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00〜放送
出演:小池栄子、吉岡秀隆、作間龍斗、ホラン千秋、富田望生、河野真也(オクラホマ)、平澤宏々路、中川大輔、野々村友紀子、石川萌香、高橋惠子、北村一輝、小林薫
脚本:金子茂樹
演出:中島悟、丸谷俊平
プロデューサー:櫨山裕子、大護彰子、市山竜次
チーフプロデューサー:田中宏史
制作協力:オフィスクレッシェンド
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
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