『マイハル』道枝駿佑が視聴者の心を振り回す 日向が傷ついた佐弥子にアプローチ
そんな深く傷ついてもなお魅力を失うことのない佐弥子を、日向(安藤政信)が放っておくわけがなかった。難航する就職活動にへこむ佐弥子を元気づけていくうちに、2人で過ごす時間も増えていく。それは、拓がスイス行きを断ろうとしていたときに懸念していた展開でもあった。佐弥子に惹かれている日向にとって、拓がいなくなるのは都合がいいはずだと。だからこそ空港で日向に抱きしめられる佐弥子を見た拓の目は、哀しみと怒りが入り混じったような複雑な眼差しだったのではないだろうか。佐弥子の幸せを願っていたとはいえ、その相手が自分ではないという現実を目の当たりにした切なさ。そして、拓に「そんなことはない」と言いながら、やっぱり佐弥子にアプローチをしている日向への苛立ち。
それでなくとも佐弥子に「言わないで」と念を押していたスイス行きの話を伝えた日向に怒りをあらわにしていた拓のことだ。覚悟していたこととはいえ、日向がいなければ佐弥子とこんなことにはなっていなかったではないかと、怒りが再燃するのも無理はない。一方で、あのとき日向が佐弥子に話したからこそ、拓はスイス行きの道を絶たずに住んだとも言える。胸が潰れるほど苦しい思いをしたからこそ、2年で結果を残すことができたとも……。
では今回のハグに関してはどうだろうか。日向の向きからして、ひょっとしたら佐弥子を抱きしめる前に拓の姿を確認していたのではないか。そして、本当にこのまま佐弥子を手放してもいいのかと、拓の本心を引き出そうとしたのだとしたら!? 真凜いわく「彼女が幸せなら、俺はそれでいいからって」と、自分の幸せよりも好きな人の幸せを優先しがちな日向。そんな優しい日向となら、きっと穏やかな時間を共に過ごすことができるはずだ。佐弥子の手が日向の背中に回りそうになる気持ちもわからなくはない。
だが、その手はそのまま動くことはなかった。それは拓への気持ちが完全に消えてはいなかったからに違いない。あるいは、どこか不器用同士で似ているところがある佐弥子と拓だ。拓がスイスで結果を出したら佐弥子と家族になろうとしていたのと同じように、佐弥子もまた建築関係の仕事でしっかり一人前になることができてから、プライベートについて考えようと思っていたのかもしれない。いずれにしても、日向への返事を保留にしている佐弥子。どうしても惹かれてしまう拓の背中を老い続けるか。それとも安心をくれる日向との将来か。最終話においても、自分にとっての幸せとは何かと大いに悩むことになりそうだ。
しかし、その問いかけは、決して青春の終わりだけのものではない。何歳になっても、ライフステージが変わっても、そのたびに私たちは悩み続ける。そして、自分で掴んでいくしかないのだ。これが「後悔しない選択だ」と。来週はいよいよ最終話。どんなエンディングが待っているのかわからないけれど、どんな結末であったとしてもきっと佐弥子が決断していく姿そのものに私たちは勇気をもらうに違いない。自分の人生を悔いなくアップデートしていこう、と。
■放送情報
火曜ドラマ『マイ・セカンド・アオハル』
TBS系列にて、毎週火曜22:00〜22:57放送
出演:広瀬アリス、道枝駿佑(なにわ男子)、伊原六花、飯沼愛、水沢林太郎、箭内夢菜、濱尾ノリタカ、イモトアヤコ、安藤政信
脚本:北川亜矢子
主題歌:なにわ男子「I Wish」
プロデューサー:塩村香里
演出:青山貴洋、山本剛義、泉正英
企画:吉藤芽衣
編成:武田梓
製作:TBSスパークル
©TBS
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