菅野美穂が明かす、本格復帰に感じていた不安 「今できることを一生懸命やれたらいい」

菅野美穂、本格復帰に感じていた不安明かす

 菅野美穂が連ドラに帰ってきた。連ドラ出演は2年ぶり、テレ朝ドラマでの主演は24年ぶりとなる菅野が『ゆりあ先生の赤い糸』で演じるのは、ちょっと変わった主婦ヒロインだ。

 幼い頃はバレエに励み、現在は自宅で刺繍教室を開いている“ゆりあ先生”こと伊沢ゆりあ(菅野美穂)。「カッコよく生きようぜ」という父親の言葉を胸に生きるゆりあは、長年連れ添った夫・吾良(田中哲司)が倒れたことをきっかけに、夫の“彼氏”を名乗る稟久(鈴鹿央士)と、子ども連れの“彼女”みちる(松岡茉優)の面倒を見ることに。

 普通なら憎んでもおかしくない夫の不倫相手もまとめて愛してしまうゆりあは、「寛容さを大事にしたい」という菅野自身とどこか通じるものがあるのかもしれない。久しぶりの連ドラ出演となる菅野に、ゆりあ先生の魅力について聞いた。(編集部)

『ゆりあ先生の赤い糸』の出演オファーに感じた“縁”

――作品のどこに惹かれて、オファーを受けたのでしょうか?

菅野美穂(以下、菅野):ゆりあさんは、同性から見ても「見上げた女性だな」と。たくましく、尊敬できる部分がたくさんある女性を演じさせていただけるということで、「私でいいんですか!?」と嬉しく思いました。

――出演を決める際には、やはり“演じてみたい”という気持ちが大きかったですか?

菅野:もちろん、それもあります。でも、誤解を恐れずに申し上げると、今はまだ子どもに手がかかる時期なので、自分のペースで働くというよりは「このタイミングなら働けるかな」という“ご縁”によるところが大きくて。今、『ゆりあ先生の赤い糸』のお話をいただけたことに、運命的なものを感じました。

――たしかに、どうしても子ども中心のスケジュールになりますよね。

菅野:そうなんです。しかも、「ここなら働ける」というところで、子どもが急に風邪を引いたりもして。

――すごくわかります。改めて、ゆりあや作品の印象を聞かせてください。

菅野:ゆりあさんは石のように何にも動じない女性で、これまで「どう生きたいか」よりも「どう生きるべきか」で人生を歩んできたけれど、夫の病気をきっかけに「自分がどう生きたいか」を考える人生に変わっていきます。なので、物語が進むにつれて、彼女のいびつな部分だったり、人間らしさだったりが見えるようになっていくんです。私は原作を読んでいて、「こんなに大変なゆりあさんだから、楽しい時間も持ってほしいし、『幸せだな』と思ってほしい」と応援したくなりました。中盤からは、ゆりあさんの恋愛も描かれていますが、そういったところも奇想天外で面白いですし、本当にパワーのある作品だと思ってます。

――実写化にあたり、特に意識したことはありますか?

菅野:私は原作と比べて身長が足りないので、それ以外の部分でゆりあさんの要素を自分なりに表現していけたらいいなと思っていました。でも、「自分で何かを加えていこう」とはあまり考えていなくて、入江(喜和)さんのお描きになったゆりあを大事にして、そのまま生き生きとドラマに持っていけたら、と思って演じました。

――ゆりあを演じる上で、大切にしていることも教えてください。

菅野:心が動いたときに、怒っているのか喜んでるのか、わからない人っているじゃないですか。ゆりあさんはそういう人だと思うので、堪えているときの口元を特に意識していました。最初の頃は、「あまり心情と表情がリンクしないように」とも思っていましたね。本当に幸せだと思っていても(高い声で)「幸せだった~!」ではなくて、(低い声で)「自分、幸せでした」というようなイメージで演じていました。

――役作りのために刺繍とバレエの教室に通われたそうですが、その後も続けていらっしゃるのでしょうか?

菅野:撮影が始まってからは、1回も行けていません(笑)。でも、刺繍の先生からお借りした作品をあらためて見ると、立体的な絵画のようで、ふっくらしてツヤもあるし、自分のボテッとした刺繍とは全然違うんです。私も最後まで仕上げて“味”として自分の中では完結しましたけど(笑)、先生の刺繍は裏も綺麗で感動しました。バレエは実際にやってみて、その世界にハマる人たちの気持ちがわかりました。華やかで、お姫様みたいに動きが優雅で、人生が豊かになる感じがして。自分が踊るかどうかは別として、また機会があったら観に行きたいなと思っています。

――そういった“実際にやってみる”という役作りは、ずっと続けていることですか?

菅野:フジコ・ヘミングさんを演じたときにピアノを練習したり、時代劇で着物のお作法を学んだり、ということはありましたが、それ以外ではあまりなかったですね。連続でお仕事していたときには、正直なかなか時間がかけられないというのもあって。今は作品の本数が少ないからこそ、丁寧に役作りができる時期でもありますし、役と丁寧に向き合えたらいいなと思っています。

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