菅野美穂が明かす、本格復帰に感じていた不安 「今できることを一生懸命やれたらいい」

菅野美穂、本格復帰に感じていた不安明かす

「今できることを一生懸命やれたらいい」

――連ドラ出演は2年ぶりですが、実際に現場に入っていかがでしょうか?

菅野:体力的にも時間的にも不安がありましたけど、台本があがってくるのも早かったり、すごくやりやすくしてくださってありがたいです。育児で毎日「カーッ」となっている自分とはちょっと違う、仕事をしている時間も大事だなと感じますね。とはいえ、育児にも日々追われているので、両方やり切れていないところはたくさんあります(笑)。でも、やり切ることを目標にするのではなく、今できることを一生懸命やれたらいいなと思っています。

――私も含め、「仕事も育児もどっちも中途半端」と悩むお母さんにとって、すごく励みになる言葉だと思います。現場では、どんな話で盛り上がっていますか?

菅野:鈴鹿(央士)くんはデビュー作の『蜜蜂と遠雷』で松岡(茉優)さんと共演されていて、三田(佳子)さんはその映画をご覧になっただけでなく、小説もお読みになっていたんです。それで私も映画を観たら、本当に素晴らしくて、すごく感動して、その話で盛り上がりました。映画は4年前の2019年10月4日公開で、今回4年ぶりに再会したのがちょうど10月4日だったそうで、鈴鹿くんも「運命的です」とおっしゃっていました。あとは、「お昼に何食べる?」「デリバリー何頼む?」って(笑)。

――ちなみに何がお好きなんですか?

菅野:スタジオの近くのガパオライスが美味しかったです! デリバリーでは、休憩時間との兼ね合いで、親子丼を頼んだり、おそばを頼んだりして楽しんでいます。本当はスンドゥブを頼みたいんですけど、お店がすぐ閉まっちゃうんですよ。でも、いつか必ず頼みたいと思っています。

――子どもが小さいと、昼食に自分の好きなものが食べられるだけで感動しませんか?

菅野:たしかに! 普段は夕飯の残り物ばっかり食べているので(笑)。

――(笑)。鈴鹿さんとお芝居をされた印象についても聞かせてください。

菅野:瑞々しい感性をお持ちで、監督からの「もっとこうしてほしい」というリクエストをじっくりと噛み締めながら、ちょっとずつ調整をされていて、とても紳士だなと思います。三田さんから学ばせていただくことはもちろんたくさんありますが、若い方からも教えていただくことがたくさんあって、「私、錆びついてたなぁ」みたいな(笑)。心が洗われるというか、「私も昔こうだったのかな」と忘れていた自分を思い起こしたりもしますね。

――今回は24年ぶりのテレビ朝日の連ドラ主演ということで、さらに当時を思い出されたのではないでしょうか?

菅野:24年前は、テレビ朝日が六本木じゃなかったんですよね。(スタッフの「2003年に新社屋に移りました」という話を聞いて)ということは、20年前に六本木ヒルズが出来た……って、もう20年経ってるんですね。そこにビックリしちゃいました(笑)。当時は22歳なので、ちょうど今の鈴鹿くんと同じくらい。今と違って深夜に撮影が終わって、また早朝に家を出る、移動中に睡眠時間を確保するような日々でした。現場は学校のように学ぶことばかりで、カロリーの高い毎日でしたね。やっぱり経験が少ないから不安も大きかったと思うし、監督から言われても理解できないこともあって、とにかく必死だったと思います。

――当時と今では仕事との向き合い方も違うと思いますが、今、改めて感じている俳優業の魅力を教えてください。

菅野:緊張感がある中で、濃密な時間を過ごせること。特に連ドラは「限られた時間の中で、どこまで集中できるか」が醍醐味かなと思います。撮影中は寝てる時間以外はほとんど共演者の方と一緒にいるので、家族以上に過ごす時間が長いんです。でも、最終回が終わったら魔法が解けたように、次はいつ会えるかわからない。その中で、演技でぶつかり合うことが、やりがいなのかなと思います。でも最近は、撮影の合間に演技と関係のないお話をするのもすごく大事だなと思うようになりました。

――意識的にコミュニケーションを取るようにしているんですか?

菅野:“緊張感のあるシーンの撮影だから、ずっと緊張している”という年齢でもなくなってきたというか。役としては対立していても、本人同士で他愛もない話をしたり、安心感があると、より芝居でぶつかれることもあると思うんです。「緊張感を持ってやり合いましょう」という考え方もあるけど、年長者になってきたからこそ、周りも含めてリラックスさせることができるのかなって。若いときに、そういう場面でどうでもいい話をしていたら「アイツは不真面目だ」と思われるかもしれないけど、もうこの歳ですから(笑)。

――年長者の特権ですね(笑)。ゆりあは「カッコよく生きる」が座右の銘です。菅野さんが「こう生きていきたい」という想いを聞かせてください。

菅野:もともと寛容さを大事にしたい、と思っていましたが、日々の生活に追われて自分に余裕がなくなると、笑えないし、嫌なところしか見えない、ということもあるんですよね。でも、ゆりあさんたちは「常識で考えたらアウトでしょ」ということを、人情で「やるしかない!」と前に進んでいて、それはやっぱり寛容さがあるからこそできることだと思うんです。いろんな人が自分らしく生きるためには、そういう緩さや優しさが大事なのかなと、この作品を通してより強く思うようになりました。

■放送情報
『ゆりあ先生の赤い糸』
テレビ朝日系にて、毎週木曜21:00~21:54放送
出演:菅野美穂、鈴鹿央士、木戸大聖、宮澤エマ、松岡茉優、白山乃愛、志田未来、吉瀬美智子、田中哲司、三田佳子
原作:入江喜和『ゆりあ先生の赤い糸』(講談社)
脚本:橋部敦子
音楽:菅野祐悟
監督:金井紘、星野和成、竹園元
エグゼクティブプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)
プロデューサー:峰島あゆみ(テレビ朝日)、中込卓也(テレビ朝日)、山形亮介(KADOKAWA)、新井宏美(KADOKAWA)
制作協力:KADOKAWA
制作著作:テレビ朝日
©︎テレビ朝日
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/yuriasensei/
公式X(旧Twitter):https://twitter.com/yuriasensei_ex
公式Instagram:https://www.instagram.com/yuriasensei_tvasahi/

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