『トクメイ!』佐藤二朗の背中に漂う哀愁 脅迫者Xと1億円の関係に新展開?

『トクメイ!』佐藤二朗の背中に漂う哀愁

 『トクメイ!警視庁特別会計係』(カンテレ・フジテレビ系)第8話では、消えた1億円と脅迫者Xの正体をめぐって駆け引きが繰り広げられた。

 円(橋本環奈)たちの目の前でこつぜんと消えた1億円。管理責任者だった須賀(佐藤二朗)は監察に呼び出される。一方、西尾参事官(隈部洋平)のUSBメモリには、元警察官僚で衆議院議員の小田切(堀川りょう)につながる証拠が残されていた。新聞記者の芹沢詩織(石井杏奈)が階段から落ちて死んだちょうどその日に、芹沢は小田切と面会の約束があった。脅迫者Xの行方を追って湯川(沢村一樹)たち強行犯係が動いた。

 次々と浮上する新展開に面食らったのは視聴者だけでなく、円たちも同じだった。1億円と脅迫者Xのどちらを優先すべきなのか? 1億円の紛失は所轄の万町署で起きている。かたやXの捜査は円が受けた特命だ。須賀のためにも1億円を見つけたいという円に、官房長の榊山(福井晶一)はX捜査を優先するように命じ、Xを見つけ出せれば1億円の責任は帳消しにすると約束した。

 芹沢が調べていたのは警察の不正だった。Xは小田切の周辺の人物をターゲットにしていることがわかっている。芹沢の死に小田切が関与しているとしたら、Xの正体についても小田切たちは何らかの事実をつかんでいるはずだ。しかし、小田切から直接事情を聴取しようとした湯川は停職処分になり、真相を問いただした円に榊山は裏切るなと牽制される。そして、データの入ったUSBが何者かに奪われた。

 署内で立て続けに起きる不穏な出来事の背後には、警察内の上下関係がある。須賀によると「警察官僚や政治家が現場の警察官を駒として使うのは昔からある手」で、「金銭的なバックや出世を見返りにして、特命で個人的な仕事をさせる」。何を隠そう円のXに関する捜査も榊山の特命だった。表向き正規の任務と見せかけて、実は私的な目的の仕事を所轄の予算で遂行する。警察幹部の特命業務を撤廃すれば、その分経費も浮く。円が担う経費削減とXの捜査は表裏一体の関係にあった。

 仮に劇中のように、多くの警察官が上司や本庁の要請で所轄予算を使っているとしたら由々しきことである。事実と異なることを願うばかりだが、「1円にもならない忖度」をやめようと組織の本丸に斬りこむ円の訴えに溜飲の下がる思いをした人も多かったはずだ。湯川とともに芹沢を殺した犯人を特定した円は、進退をかけて決死の行動に打って出た。

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