『相棒』右京と亀山から学ぶ、“信頼”することの大切さ　事件解決後も残るモヤモヤ感

　亀山は矢崎の本当の姿が分かってきた頃、「なんだか気の毒になってきちゃいましたよ。素直に本当のことを打ち明ければよかったのに」と言った。この言葉に、安本や林田のように人には見栄があるから矢崎が素直になるのは簡単なことではないだろう、という思いと、今や互いになくてはならない存在になっている相棒の片割れに言われると、その通りなんだよなという思いがないまぜになって、複雑な気持ちになってしまった。矢崎の隣にも、右京にとっての亀山のような信頼できる人がいたら、状況は変わっていただろう。

　「好きなバンドを世の中に知らしめたい」という情熱を持ってやってきたのに、憧れの矢崎には雑用としか見られていなかったと嘆く若手マネージャーに突然届いた誕生日ケーキ。それは常日頃からマネージャーの頑張りを見て、感謝していた矢崎からのものだった。やっぱり言葉が足りない。その上、それは矢崎の口からは一生伝えられないものになってしまった。矢崎も、バンドメンバーも、マネージャーも、断罪されるような悪いところはなく、それぞれが精一杯。ただそれだけだった。事件が解決したというのに残ってしまった形容しがたいモヤモヤを、ぐっと飲み込むことしかできない一夜だった。

■放送情報
『相棒 season22』
テレビ朝日系にて、毎週水曜21:00～21:54放送
出演：水谷豊、寺脇康文、森口瑤子、鈴木砂羽、川原和久、山中崇史、篠原ゆき子、山西惇、田中隆三、神保悟志、小野了、片桐竜次、杉本哲太、仲間由紀恵、石坂浩二ほか
エグゼクティブプロデューサー：桑田潔（テレビ朝日）
プロデューサー：髙野渉（テレビ朝日）、古草昌実（テレビ朝日）、西平敦郎（東映）、土田真通（東映）
脚本：輿水泰弘ほか
監督：橋本一ほか
音楽：池頼広
制作：テレビ朝日／東映
©︎テレビ朝日
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