くっきー!×カネコアツシ、パンクな話に大盛り上がり! コラボするなら「鋲ジャンで!」

くっきー!×カネコアツシのスペシャル対談

 動画配信サービス「DMM TV」にて、カネコアツシ原作のドラマ『EVOL(イーヴォー)~しょぼ能力で、正義を滅ぼせ。~』が独占配信中。世界に絶望して自殺を図った3人の少年少女が、偶然手にしたささいな超能力を武器に、絶対的な力を持つ正義のヒーローと理不尽で不寛容な世界に戦いを挑むという物語だ。

 配信スタートにあたって、原作者のカネコアツシとカネコの大ファンで同作の応援隊長を務める野性爆弾のくっきー!とのスペシャル対談が実現。カネコが描いた似顔絵を見て、「めちゃくちゃ嬉しいですよ!」とくっきー!のテンションは爆上がり。初対面だった2人の対談は和気あいあいと始まった。

くっきー!「(カネコの漫画は)めちゃめちゃシャレてる。シャレケツですよ(笑)」

野生爆弾 くっきー!
野生爆弾 くっきー!

くっきー!:もう本当にカネコ先生の作品が大好きで。

カネコアツシ(以下、カネコ):YouTubeでも触れてくださってますね。

くっきー!:僕、YouTubeで後ろに映る本棚があるんですけど、あれは自分の中で一軍の本棚なんです。映ったときにカッコいい本が並べてあって、好きやけどちょっとダサい本は後ろ(笑)。カネコ先生は当然一軍ですよ!

カネコ:僕はくっきー!さんがくっきー!さんになる前から、YouTubeで「野性爆弾 川島」で検索してネタとか見てましたよ。街ロケの動画とか見てました。

くっきー!:マジですか⁉ 人としてグジュグジュで一番アカンときのやつですね(笑)。

カネコ:そのヒドさが見たかった!

くっきー!:いや、少なからず先生の影響を受けてああなったと思います。

カネコ:他人のせいにしないでください(笑)。

くっきー!:僕が売れるのが遅かったのは先生のせいですから(笑)。

(左から)カネコアツシ、野生爆弾 くっきー!
(左から)カネコアツシ、野生爆弾 くっきー!

ーーくっきー!さんがカネコ先生の作品を最初に読んだのはいつ頃でしたか?

くっきー!:『BAMBi』(98年)が最初でしたね。まだ大阪にいた頃、初めて同棲した女の子がいて、その子に教えてもらったんです。まず「絵がカッコええ!」となって、ストーリーもぶっ飛んでっておもろいじゃないですか。かつキャラが1個1個シャレてるんですよね。ちょっとカルチャー背負ってるんです。サイコビリーっぽい奴がいるし、Oiも出てくるし。僕、Oiパンクがめちゃくちゃ好きなので、Oiが出てきた時点でグッと来ましたね。

ーーOiパンクが出てくる漫画なんて他にありませんからね。

くっきー!:世の中にゼロですよ! カネコ先生の絵を見ると、サイコビリーはパンツをロールアップして、ボックスタイプのシャツを着て、みたいに勉強にもなるんです。だいぶ偏ってますけどね(笑)。

カネコ:『BAMBi』を描く前は全然人気がなくて、自分と同じものを好きな人たちに「ここにいますよ」って見つけてほしかったんですよね。だから自分の好きなものをバンバン入れて。

くっきー!:いっちゃん最初って何やったんすか? 読み切りとかですか?

カネコ:『スピリッツ』の新人賞に送って小さい賞をもらったのが最初です。そこから今思えば「載せられるか!」って感じのものを平気で描き続けていましたね。その後、『ロックンロール以外は全部嘘』という漫画で初めて単行本を出したのですが、これが全然売れなくて。

くっきー!:じゃ、『BAMBi』でバーンとハネたんですね。当時、大阪の服とか置いてある、おしゃれなサブカル系のショップにステッカーとかめっちゃ置いてありましたもん。フライ、マウス、ローチ(登場人物の名)のとか買いましたから。

カネコ;この頃、ヴィレヴァン(ヴィレッジヴァンガード)が広がっていたときで、そこで取り上げてもらいました。

『EVOL (イーヴォー)~しょぼ能力で、正義を滅ぼせ。~』予告編 -DMM TV

くっきー!:先生の作品には好きな音楽とかその周辺の雰囲気が詰まっているんですよね。先生はどこらへんがお好きなんですか?

カネコ:いろいろ好きですよ。ロカビリーも好きだったし、ガレージも好きだったし、オルタナも好きだし。僕は自分の漫画をオルタナ漫画と呼んでます。サブカルって言われるのがイヤで(笑)。

くっきー!:たしかに! めちゃめちゃオルタナ感ありますわ。先生、音楽シーンにもお仲間が多いですよね。「ジャケット描いてくれ」という人もたくさんいるでしょう。

カネコ:そうですね。最近だとホルモン(マキシマムザホルモン)とか、SiMとか。

くっきー!:おお、SiM! 『EVOL(イーヴォー)』にはディスチャージが出てきますけど、読者の若者たちに向けて、荒くれていた時代のバンドたちに魂を吹き込んでいただけたら嬉しいですね。

(左から)カネコアツシ、野生爆弾 くっきー!
(左から)カネコアツシ、野生爆弾 くっきー!

ーーくっきー!さんは、カネコ先生の作品のストーリーから影響を受けたところはありますか? かなり衝動が詰まっている作品だと思いますが。

くっきー!:先生の作品のストーリーから影響受けたらダメでしょう! あの衝動はヤバいですよ。世界をぶっ壊したくなりますよ(笑)。

カネコ:あっはっは。

くっきー!:『EVOL(イーヴォー)』は線が細めですけど、『BAMBi』はめちゃめちゃ筆で描いたみたいに太かったじゃないですか。

カネコ:『BAMBi』の頃は筆ペンで描いてましたね。

くっきー!:アメコミを日本に落とし込んだ感というか。『EVOL(イーヴォー)』もそうですけど、アメリカとかイギリスっぽいキャラがわんさか出てくるのに、背景は日本で日本の物語というのがすごいなって思いますね。全員日本人なのに、めちゃめちゃゴツいグラサンはめてる奴がおったりとか、めちゃめちゃシャレてる。シャレケツですよ(笑)。

ーーくっきー!さんも絵を描きますが、カネコ先生から影響を受けた部分はありますか?

くっきー!:先生の筆で描いている感じに憧れて、ものすごく練習してました。僕は筆ペンで描かずに、細いペンを重ねて筆っぽくしていましたけど、完全に先生の影響だと思います。でも、先生の絵って難しいんですよ! 線が多ければ多いほどバランスが取りやすいんですけど、先生の絵はシンプルなのに配置が絶妙なんです。あと、出てくる女がみんなええ女(笑)。

カネコ:線に関しては、この前の作品ぐらいまでは線が増えてうるさくなってきたので、『EVOL(イーヴォー)』からはシンプルに、線を少なくしたんですよ。

くっきー!:『サーチアンドデストロイ』はぐわーっと線が多かったですもんね。めちゃくちゃ面白かったです。

カネコ:手塚治虫の『どろろ』のカバーなので、王道の漫画好きの人が初めて俺の漫画を読むだろうから舐められちゃいけないと思って、これだけ描けるんだぞ、と見せてやろうと思って描きました(笑)。

くっきー!:先生の絵って、すぐに誰の絵かわかるんですよね。それって漫画家にとって最高のことだと思います。

カネコ:漫画家になるときに自分の絵を作らなきゃいけないと思ったんです。他の漫画からの影響をなくそうとして、写真を見ながら「顔ってどうなってんだろう」みたいなところから描き始めたんですよ。自分なりの描き方を見つけたかったんですね。

カネコアツシ
カネコアツシ

くっきー!:そこからカネコラインができたんですね。キタノブルーみたいな(笑)。独特ですよね。『王様のブランチ』(TBS系)で『BAMBi』を紹介させてもらったんですよ。

カネコ:観ました! 録画しました(笑)。

くっきー!:そのときも言うたんですけど、1個1個がもうカッコよくてポスターにして飾りたいぐらいなんです。唯一、漫画家先生の絵の中でタトゥー入れてもいいなと思うのが、カネコ先生の絵ですね。

カネコ:実際に『BAMBi』とか『デスコ』の絵を入れてる人が結構いますよ。

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