『フェルマーの料理』揺れ動くヒーロー像を志尊淳が体現 海の秘密に迫るヒントはどこに?

『フェルマーの料理』海の秘密に迫るヒント

 西門は、上半身裸の淡島(高橋光臣)と伝説のシェフ・渋谷(仲村トオル)に重要な書類を渡していた。このシーンでは、書類を受け取った淡島が「これは私が書いたものだ」と返し、西門が「朝倉海はもう、シェフではいられない」と答える。この謎の“書類”が海の診断書であるとしたら、どうだろうか。

 
 さらに、淡島に「俺には時間がないのか?」と尋ねる海に対し、淡島が「来年の花見くらいまではあるだろう」と答えるやり取りも。そう考えると、“時間がない”海が真理の扉を開けるべく、岳に必要以上に厳しいスパルタな言葉をかける理由にも頷ける(単に海の性格が難ありなのも理由だろうが)。2024年の海が、なぜレストランKにいないのか。考察を交えて考えると、この先が少し怖くもある。

 第6話では、コースのメインシェフを巡る競争が描かれる様子。作品全体を通して、点と点が徐々に繋がっていく様子がうかがえるに違いない。もちろん、料理のシーンも魅力的なのだが、そろそろ全体の折り返しということもあって、海の秘密に迫るヒントが現れる気配が漂っている。

 もし、海の秘密に未来の岳が触れているのだとしたら? つい闇堕ちした岳の変化に目が奪われてしまいがちではあるが、“何が岳をそこまで追い込んだのか”を考えると、また違うものが見えてくるかもしれない。第6話以降の展開は『フェルマーの料理』の“料理以外”のパートにこそ、海という人間を紐解く重大なヒントが眠っているように思う。

■放送・配信情報
金曜ドラマ『フェルマーの料理』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜22:54放送
U-NEXT、Netflixにて配信中
出演:高橋文哉、志尊淳、小芝風花、板垣李光人、白石聖、細田善彦、久保田紗友、及川光博、宮澤エマ、細田佳央太、宇梶剛士、高橋光臣、仲村トオル
原作:小林有吾『フェルマーの料理』(講談社『月刊少年マガジン』連載)
脚本:渡辺雄介、三浦希紗
プロデューサー:中西真央
演出:石井康晴、平野俊一、大内舞子
©TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/fermat_tbs2023/
公式X(旧Twitter):@Fermat_tbs
公式Instagram:fermat_tbs
公式TikTok:@fermat_tbs

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