『いちばんすきな花』今田美桜の“光と影”は『おかえりモネ』でも 夜々役への深い解釈

『いちばんすきな花』今田美桜の“光と闇”

 そんな夜々は、ゆくえ(多部未華子)や椿(松下洸平)、紅葉(神尾楓珠)との出会いにより、自分らしさを解放できるようになる。ずっと母が望む女の子を演じてきた夜々が、母親に想いをぶつけるのはとても勇気が必要なはずだ。相手が望む自分の姿を敏感に感じてしまう優しさがあるからこそ、自分の負の感情に蓋をして生きてきた。自分を出せないことは苦しいけど、母のことは嫌いになれない。大切な母だからこそ、自分を理解してほしい。光と影の間で葛藤し涙をこぼす夜々の姿に、今田による役への深い解釈が感じられた。

『いちばんすきな花』今田美桜

 NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』でも、いるだけで目を引いてしまうために「かわいい女の子」として扱われ、キャリアに対して悩みを抱える神野マリアンナ莉子を演じていた。マリアンナは突破口を見出そうともがく強さを持ちながら、悩みを抱えて葛藤する弱さもあった。今田の光と影を感じさせる芝居は、一見現実離れしたマリアンナの存在を立体的にしていたのだ。

 今田は役柄の光と影のコントラストを自然に、それでいてくっきりと表現し、役柄を立体的に浮かび上がらせることが巧い。どんなに目立つ人物であっても、悩みがない人間なんていない。役の心情を深く理解し、負の感情とそこにある葛藤をリアルに表現する今田の存在は、繊細な心の機微を描く『いちばんすきな花』には欠かせないだろう。

■放送情報
木曜劇場『いちばんすきな花』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:多部未華子、松下洸平、神尾楓珠、今田美桜、齋藤飛鳥、白鳥玉季、黒川想矢、田辺桃子、泉澤祐希、臼田あさ美、仲野太賀ほか
脚本:生方美久
プロデュース:村瀬健
演出:髙野舞
音楽:得田真裕
主題歌:藤井風「花」(HEHN RECORDS / UNIVERSAL SIGMA)
制作・著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/ichibansukina_hana/
公式X(旧Twitter):@sukihana_fujitv
公式Instagram:@sukihana_fujitv

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