『ブギウギ』趣里が向き合い続けた和製ジャズの名曲「ラッパと娘」 鍵となった自我の解放

『ブギウギ』趣里が向き合った「ラッパと娘」

 このような流れからも、ここでスズ子が「ラッパと娘」を自分らしく楽しんで歌うことは、スズ子の成長の側面から見て非常に重要な意味を持つ。「ラッパと娘」は、梅丸歌劇団で培った調和の取れた様式美から頭一つ抜け、“福来スズ子”を作り上げるための一歩として必要なエピソードとなった。

 趣里の歌唱は圧倒的だった。のびのびとした手足、バレエで培ったしなやかな動き、勢いのあるステップや大きな口を開けて笑顔で観客を挑発する様子は、まさに笠置シヅ子のパワフルなステージを彷彿とさせる。毎週の華麗なステージングは『ブギウギ』の大きな魅力といっていいだろう。

 曲の完成には苦労したスズ子と羽鳥だが、「ラッパと娘」を通して2人は理解を深めたのではないか。この先も、多くの傑作を世に生み出すヒットメーカーとスウィングの女王の物語から目が離せない。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:趣里、水上恒司、草彅剛、蒼井優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎ほか
脚本:足立紳、櫻井剛
制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
演出:福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠ほか
写真提供=NHK

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