『あな忘』2人の女性を介して複雑に交わり合う空の過去と現在 ラスト10分は怒涛の展開に

『あな忘』複雑に交わり合う空の過去と現在

 そんな中、美璃はついに沙菜と再会することになる。「忘れたほうがいい」と言われたにもかかわらず、毎日キッチンカーに通っている後ろめたさから、思わず踵を返そうとする美璃だが、空に「ごはん、一緒に食べへん? 美璃さんもおいでよ」と呼び止められてしまう。

 そして、この先に描かれる“沙菜だけが知る過去”が美璃の心をじわじわと蝕んでいく。「あんた昔から唐揚げ好きやねん」「酒は飲めへん」など、沙菜が自分の知らない昔の空を知っていることを突きつける言葉の連続に、複雑な表情を浮かべる美璃。自分の知らない空を知っている沙菜に一歩引いた様子で「沙菜さんは彼とすごくいい雰囲気だし」と美璃が語ると、「わたしだって、何度も寂しい想いをしてる。もう慣れただけ。あの子とつきあうには、覚悟がいるんよ」と真剣な表情で空とのこれまでを振り返る沙菜の姿からは、やはり空への強い想いが感じられる。

 しかし、美璃だって空への想いは負けていない。後日、空への作ったお弁当の中には彼の好物である唐揚げが入っていた。知らなかったのであれば、これから知っていけばいい。そんな心の声が聞こえてくるかのように、空との“今”を生きようとする美璃の姿に心が温かくなった

 ある意味では“友達”としてゼロから関係値をやり直した美璃と、ずっと側にいて空に過去の記憶を与えながら彼を支えてきた沙菜。積み上げてきた時間の概念が曖昧な空にとって、彼の心に本当の意味で寄り添えているのは、果たしてどちらなのだろうか。

 また、前回怪しげな火傷の痕をちらつかせた保にも動きが。保と沙菜は、「同業種交流の会」という予期せぬ合コンで巡り会うことになったのだ。さらに美璃が、空と保を引き合わせようとするなど、次回以降、さらに空を取り巻く輪が保を介して広がっていく予感。

 ラスト10分、怒涛の展開で「私のことは忘れても、私の弾いた曲は覚えてるかもね」という美璃にくちづけをした空。繰り返される恋の果てに待っているのは、希望溢れる未来か、それとも絶望の明日か。空の選択が、美璃にとっての幸福にも繋がっていることを願わずにはいられない。

■放送情報
『たとえあなたを忘れても』
ABCテレビ・テレビ朝日系にて、毎週日曜22:00〜放送
TELASA、U-NEXTにて、見放題配信
TVerにて、放送終了後見逃し配信
出演:堀田真由、萩原利久、風間俊介、岡田結実、畑芽育、松井玲奈、森香澄、丸山智己、須藤理彩、加藤貴子、檀れい
脚本:浅野妙子
プロデューサー:清水一幸、辻知奈美、髙石明彦(The icon)、高橋香奈実(The icon)
演出:大谷健太郎、髙石明彦
音楽:平野真奈、福廣秀一朗
主題歌:由薫「Crystals」(Polydor Records)
制作協力:The icon
制作著作:ABCテレビ
©️ABCテレビ
公式サイト:https://www.asahi.co.jp/anawasu/
公式X(旧Twitter):@anawasu_abc
公式Instagram:@anawasu_abc
公式TikTok:@anawasu_abc
公式LINE: @abc_drama

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