『ブギウギ』の脚本家・足立紳と“人情もの”は相性抜群? 初の朝ドラに込めた想い

足立紳が『ブギウギ』に込めた想いとは?

 数々の映画やドラマなどのコンテンツが溢れ返っている昨今、あなたはどのようにして鑑賞する作品を選んでいるだろうか。やはり出演者が決め手になっている人は多いのではないかと思う。「この俳優が出ているならば間違いない!」という存在は誰にだってあるはず。そして映画の場合は誰が監督を務めているのか、ドラマの場合は誰が演出を手がけているのか。これも一つの大きな判断基準になるだろう。

 しかしそれ以前に、どんなテーマのどんな物語が描かれるのかが重要だ。いくら優れた俳優と演出家が揃ったとて、ベースとなる物語が陳腐であれば作品全体が陳腐なものにならざるを得ないだろう。この判断基準の解像度をもう少し上げようとすると、「脚本を書いているのは誰なのか?」という興味・関心が湧いてくる。好評放送中の朝ドラ『ブギウギ』(NHK総合)の脚本を手がけているのは、足立紳である。

 昭和の大スターである笠置シズ子をモデルとしたヒロイン・スズ子(趣里)が、エンターテインメントの世界で奮闘する姿を描いた本作。仲間たちと切磋琢磨してレッスンに励む青春模様や、あたたかな家族の肖像、スズ子の人生に大きな衝撃を与える事象の数々が展開し、作品のジャンルとして『ブギウギ』はさまざまな表情を持っている。

 ただ、本作を端的に言い表すのならば、それはやはり“人情もの”なのではないだろうか。スズ子の実家である大阪・下町の銭湯「はな湯」を中心に繰り広げられる人間模様などからは、まさに人情が感じられる。

『ブギウギ』はいい意味で“大阪らしく”ない? 心地よい“流れ”を生む脚本・足立紳の手腕

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 足立といえば、あらゆるジャンルの脚本を手がけてきた日本を代表する脚本家の一人だ。ごく平凡な女性がボクシングに目覚めて自分を変えていくさまを描いた『百円の恋』(2014年)が多方面から熱い支持を得たいっぽうで、『デメキン』(2017年)では行き過ぎた不良たちの抗争を描き、『嘘八百』シリーズ(2018年〜2023年)では古美術商の世界を舞台としたオリジナルコメディを展開。押見修造のマンガを原作とした『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(2018年)では2人の少女の瑞々しい青春劇を映画のフォーマットに落とし込んだ。コメディでもシリアスでも何でもござれの脚本家である。

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