『うちの弁護士は手がかかる』金城綾香Pに聞く“ドラマ制作”の未来　パロディの裏側も

ドラマパロディはムロツヨシの発案

――作中には過去のフジテレビ作品のパロディシーンもありますが、なぜ入れようと思ったのでしょうか？

金城：実はムロさんからのご提案なんです。もともと、蔵前は本人も役者を目指していたのだけど、うまくいかなくてマネージャーになったという設定だったんですね。でも、それを聞いたムロさんが「それだけだと30年もがんばれないから、基本的にはすごくテレビが好きな人なんじゃないか」という設定を提案してくれました。

――それを聞いたとき、金城さんはどう思いましたか？

金城：広い世代の人に観てもらいたいと思っていたので、すごく良いアイデアだなと思いました。ムロさんと平手さんがちょうど親子ぐらいの年齢差なので、ムロさんが言ったことを平手さんがわからないというのも、お茶の間と重なりそうだなと思いました。

――その設定が決まってから、蔵前の家の中のドラマグッズを用意したのでしょうか？

金城：そうですね。弊社の倉庫から持ってきました。実は、蔵前さんの事務所のデスクにも、ちょっとしたグッズが置いてあったりするので、ぜひ注目してほしいです。

――名作ドラマが多いフジテレビだからこそできることなのでしょうか？

金城：実は今後、他局のドラマのお話をする回も出てくるんです。演出としては若干の気恥ずかしさもあるんですけど、ドラマ好きの人がドラマを盛り上げようと思ってもいいかなと、やりすぎに注意しながら楽しんでいます。

ドラマの制作現場、フルスイングできる世界に

――ドラマの放送がスタートして、どんな反響がありましたか？

金城：今までだと限られた層からの反響が多かったのですが、今回のドラマに関してはかなり若手の後輩社員や年上の社員からも「おもしろかった」と言われることが多く、すごくやりがいがあるなと。それからSNSでは「新しい平手さんだった」っていう声があったり、配信も好調だったりして、すごく嬉しいなと感じています。

――最近はドラマのヒットを測る指標が視聴率だけでなく、SNSや配信と多様化しています。金城さんは、本作をどこの指標で結果を残したいと考えますか？

金城：悩ましいですよね。視聴率が良ければもちろん嬉しいですし、配信もSNSも盛り上がってくれたら嬉しいんですけど、みんながみんなSNSで呟きながら観るわけではなく、視聴に集中したいという方も多いでしょうから。そう考えると「続きが観たい」と言われたときが評価されたと感じる指標になる気がしています。

――なるほど。

金城：作品をご覧になった100%全員が好きっていうことは絶対になくて、どんな作品にも好き嫌いがあるのは当然だと思います。今はこんなにもたくさんのドラマがあるので、今までみたいにランクをつけるのではなく「いろんなドラマがあっていい」という世界が広がるといいなと思います。そうすることで、ドラマ枠が増えると役者さんの活躍の場も広がるし、若いスタッフがプロデューサーになれたり、ディレクターになれるチャンスも増えるので。作り手がフルスイングできるようあたたかい目で盛り上げてほしいなと思います。

――役者さんやスタッフさんがフルスイングできるよう、金城さんがこのドラマで心がけていることはありますか？

金城：自由にやっていただける環境にしたいなと思っています。例えば、アドリブって、やればやるほど撮影が伸びてしまうんです。でも、それをタイトにしすぎると萎縮してやりたいことができなくなってしまいます。なので、リハーサルも含めてたっぷりと時間を取れるような、クランクインしてすぐはちょっと贅沢なスケジュールにしています。みなさんで楽しい関係性を模索してくださいというように。

――まだ放送が始まったばかりではありますが、この作品を通して伝えたいこと、楽しんでほしいということがあれば教えてください。

金城：このドラマは物事を上手くこなせる人が出ているドラマではないと思っています。結論として、スカッとしない、リアリティのある結論にもっていったりすることもあります。でも、現実はそれでよくて、頑張っている人はみんなえらいとポジティブに捉えてもらえるような、ポジティブさにあふれた世界を楽しんでほしいです。

■放送情報
『うちの弁護士は手がかかる』
フジテレビ系にて、毎週金曜21:00〜21:58放送
出演：ムロツヨシ、平手友梨奈、吉瀬美智子、菅野莉央、日向 亘、安達祐実、村川絵梨、松尾諭、大倉孝二、酒向 芳、戸田恵子、江口のりこほか
脚本：服部隆、おかざきさとこ、西垣匡基
演出：瑠東東一郎、相沢秀幸
プロデュース：金城綾香
主題歌：ザ・ローリング・ストーンズ「アングリー」（ユニバーサル ミュージック）
制作：フジテレビ ドラマ・映画制作部
制作著作：フジテレビジョン
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