『トキコイ』が見出した“タイムトラベル”の課題に対する荒技 漫才コンビが“別々の未来”へ

『トキコイ』が描く“タイムトラベル”の荒技

 「過去人と未来人が出会って何も残せないなら、タイムトラベルって何ですか?」という翔(永山瑛太)の問いかけに対し、天野(伊藤万理華)は「タイムトラベルそれ自体が矛盾をはらんでいる」と冷徹に説明し、隊長の和井内(石田剛太)も「みんなその時代その時代を生きている」と突き放す。

 10月31日に放送された『時をかけるな、恋人たち』(カンテレ・フジテレビ系)の第4話で見られたこのやり取りは、“タイムトラベル”という長年人類が夢見てきた発明への尽きない憧れと、それがもたらす様々な弊害とのジレンマに改めて向き合うものだ。ある意味でそれは、これまで数多の作品で描かれてきた課題への挑戦にもつながるように思えるのだが、すでにこのドラマにはそれを万事解決してしまうだけの荒技が見出されているではないか。つまり“辻褄を合わせる”ということである。

 浅草でデートをすることになった廻(吉岡里帆)と翔。初デートだと浮かれる廻だったが、翔の話を聞くうちに、どうやら以前記憶を消される前にもデートをしていたことがわかってしまう。演芸場を訪れた2人は、そこで「フラジャイル」というコンビ名の男女の漫才を見てファンになる。ところがそんな折、新たな“バッドトラベラー”として発見されたのは池浦トシ(田村健太郎)という23世紀の売れない作家。1年半も令和の時代に暮らしている彼は、「フラジャイル」のツッコミ担当であり、相方の桜(福田麻貴)と恋愛関係にあった。

 廻のタイムパトロールとしての任期があとわずかで終わってしまうことが知らされるなか、冒頭に記したやり取りがあっても未来人と過去人が自由に恋愛できる日が来ることを諦めない翔と廻。記憶が消されてしまうトシに、桜がひとりになっても生きていけるようにと新しいネタを書かせるのだが、その行動は前回のエピソードで名前が出てきた“マギー&キケロ”の正体が廻&翔なのではないかという仮説をますます高める。しかもトシが未来に帰った後の桜の舞台を一人で見つめる廻。そこで彼女は、これまで翔がしていたように過去人と未来人のカップルの顛末に、自分と翔の姿を重ねるのである。

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