『時をかけるな、恋人たち』吉岡里帆と永山瑛太の間に見えてきた“ラブ”要素 波乱の予兆も

『トキコイ』吉岡里帆と永山瑛太のラブ要素

 廻(吉岡里帆)がまだ大学生だった頃に、タイムパトロールで過去にやってきた翔(永山瑛太)と出会い、恋に落ちていた。しかし未来人と過去人の恋愛はご法度。廻は記憶を“剥がされ”、10年後に翔は再び廻に会うために令和の時代にやってきた。そんな告白から始まった、10月17日に放送の『時をかけるな、恋人たち』(カンテレ・フジテレビ系)第2話。今回は“バッドトラベラー”だけでなく主人公2人の間にも、ラブコメディとしての“ラブ”の要素が見え始める。

 今回発見された“バッドトラベラー”は、23世紀から家出してきた17歳の少年・古市ヒロキ(南出凌嘉)。「時空管理局タイムパトロール部 令和5年世田谷基地」には、翔の婚約者だという少年課のリリリー(夏子)がやってくる。リリリーの態度に苛立ちながらもヒロキの張り込みに向かった廻は、彼が教師の西キョウカ(鳴海唯)と駆け落ちをするために令和の時代に違法トラベルしてきたことを知る。2人の強い想いに翔は自身と廻との関係を重ね合わせる一方で、廻は得意の“辻褄合わせ”で2人の願いを結実させる方法を思い付くのである。

 基地内で繰り広げられる軽妙な掛け合いのなかでは、今回も“未来的”なアクセントが随所にちりばめられている。男女の恋愛における相性をAIが判定して数値化する“スコア”であったり、SNSを駆使して未来人が紛れ込んでいないかを検索する“クロノサーチ”。よくよく考えてみれば、どちらも近未来的ではありながらも現代の技術とほとんど変わらない。そんななかでさりげなく登場する、翔が指に装着したメリケンサックのような通信機器の珍妙なまでの進歩感たるや。

 また一方で、ヒロキとキョウカの関係が接近していくさまを描くシーンにおける土手のようなロケーションと学校の狭い教室。背景に見える道路と、やんわりと付け加えられた未来的な建造物(ここは2270年だが、第1話冒頭に出てきた2253年よりも現代に近いのどかさがある)。さらに令和にやってきた2人が銭湯の前で相手が出てくるのを待つ「神田川」的なシチュエーションと道の真ん中で屯しているヤンキー集団がただよわせる昭和っぽさ。こうした、もはやどこが現代なのか不明瞭になるようなアンバランスさは、ユーモアを生むためか、あるいは恋愛というテーマに時代差はないという普遍性を示すためか。

 いずれにしても、基地に連れてこられたヒロキが振り返る回想シーンが、回想という登場人物の視点から捉えれば“過去”の出来事であるにもかかわらず2270年、すなわち“未来”に起こる出来事であるという点が興味深い。今回はしっかりと廻の“辻褄合わせ”と仕事で得たアイデアがトラベラーたちの顛末へと活かされたわけだし、なによりもエンドロールに描かれる彼らの“その後”がハッピーエンドとなったことの安心感は著しい。とはいえそこで、廻に任期を終えたら記憶を剥がされる可能性が滑り込んでくる。これは“恋の急展開”以上の波乱の予兆ではないか。

■放送情報
火ドラ★イレブン『時をかけるな、恋人たち』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週火曜23:00〜放送
出演:吉岡里帆、永山瑛太、伊藤万理華、西垣匠、田中真琴、夏子、石田剛太、じろう(シソンヌ)
脚本:上田誠(ヨーロッパ企画)
監督:山岸聖太、山口淳太
プロデューサー:岡光寛子(カンテレ)、白石裕菜(ホリプロ)
音楽:王舟
主題歌:Chilli Beans.「I like you」(A.S.A.B)
オープニング曲:PEOPLE 1「ドキドキする」(Sony Music Labels)
制作協力:ホリプロ
制作著作:カンテレ
©︎カンテレ
公式サイト:www.ktv.jp/tokikake/

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