『下剋上球児』は最強布陣で挑む新しい日曜劇場に! “疼く”鈴木亮平がたまらなく愛しい

最強布陣で挑む『下剋上球児』

ありのままの美しさと、ドラマだから見せられる映像

 そして、塚原監督の映像にもハッとさせられる。これまでも舞台となる各地域の美しい風景を愛でるようにカメラに収めてきた。今回も三重県の棚田や海辺のきらめく水面など、日本の美しさを再確認させられるシーンがいくつも見られた。その瞬間を捉えるまでにどれくらい「待ち」を経たのかと少し想像して、その熱量にまた痺れる。

 一方で、現実ではありえない色合いの世界を作ったり、リアルとは真逆の方向の演出で印象的なシーンを編み出し、視聴者をグイグイと物語の世界へと引き込む術師でもある。ありのままの美しさと、フィクションだからできること。そのどちらに対してもチャレンジングに撮り続けてきた印象がある。そんな塚原監督の新たな挑戦が、野球の白熱した面白さを伝えることだったのではないだろうか。

 踏み込んだときの土の音。立ち上る土埃。目で追うのが難しい球の動き。そんなダイナミックな動きを、初めて野球を見る視聴者にもわかりやすくドラマチックに撮ろうとするほど、きっと臨場感とはかけ離れていくような気がする。だったらいっそ……と、編み出したのが今回の演出方法なのではないだろうか。これが生中継ともドキュメンタリーとも違う、ドラマの高校野球の魅せ方として、新しいスパイスになりそうだ。

未来へ続く希望の光と、漂う過去の影

 そして、脚本家・奥寺佐渡子の手腕もまた第1話から光る。珠玉のミステリーを手掛けてきた奥寺。メインの物語に付随して、1人ひとりのキャラクターへの関心と愛情が駆り立てられるのも、奥寺脚本の大きな魅力だ。主人公である南雲の過去について、これから紐解かれていく楽しみがあると先述したが、謎を持つのは彼だけではない。一見すると、温かな家庭を守る妻の美香にも複雑な事情があるように見えて、背中がスッと涼しくなる瞬間も。また、南雲のかつての恩師でもある賀門(松平健)が、どのような監督人生を歩んできたのかも気になるところだ。

 何よりも今後、球児1人ひとりの魅力が見つかっていく予感がしてワクワクする。すでに第1話から個性を感じられる球児たち。犬塚の孫であり、名門クラブチームの元エースだった翔の達観しているようで、まだまだ精神的に未熟な部分など、これからどう化けていくのか楽しみでならない。

 3年後、南雲率いる越山高校の野球部は大きな舞台へと駒を進めている。もちろん、そこまでには様々な葛藤があり、明かされる過去があり、そして築かれていく絆がある。一筋縄ではいかない難しいゲームにこそ、観客は熱狂するものだ。まさに「プレイボール!」と叫びたくなる、野球試合の始まりのような高揚感に包まれる第1話。ぜひとも、その瞬間をお見逃しなく。

■放送情報
日曜劇場『下剋上球児』
TBS系にて、10月15日(日)スタート 毎週日曜21:00~21:54放送
※初回放送25分拡大
出演:鈴木亮平、黒木華、井川遥、生瀬勝久、明日海りお、山下美月、きょん(コットン)、中沢元紀、兵頭功海、伊藤あさひ、小林虎之介、橘優輝、生田俊平、菅生新樹、財津優太郎、鈴木敦也、福松凜、奥野壮、絃瀬聡一、鳥谷敬、伊達さゆり、松平健、小泉孝太郎、小日向文世
原案:『下剋上球児』(カンゼン/菊地高弘著)
脚本:奥寺佐渡子
プロデュース:新井順子
演出:塚原あゆ子、山室大輔、濱野大輝
編成:佐藤美紀、黎景怡、広瀬泰斗
製作:TBSスパークル
©TBSスパークル/TBS(撮影:ENO)
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/gekokujo_kyuji_tbs/
公式X(旧Twitter):@gekokujo_kyuji
公式Instagram:@gekokujo_kyuji
公式TikTok:@gekokujyo_tbs

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