蒼井優にかかる大きな期待 初の朝ドラ『ブギウギ』で体現する“トップスター”ぶりに注目
放送がはじまって早々、大きな話題と注目を集めている朝ドラ『ブギウギ』(NHK総合)。次から次へとユニークなキャラクターが登場しては、ヒロイン・花田鈴子(澤井梨丘/趣里)の成長の物語を盛り上げる。朝から元気になれる作品だ。
そこへ颯爽と現れた蒼井優。役どころ的に超重要なキャラクターであることは間違いない。
本作で蒼井が演じているのは、鈴子が入団した大阪の梅丸少女歌劇団(USK)の第1期生であり、娘役として劇団を引っぱるトップスターの大和礼子。歌と踊りの世界に魅せられた鈴子にとって、まさに憧れの存在である。これから鈴子は彼女から、歌や踊りの大切な精神を受け継いでいくらしい。
本作の公式ガイド『連続テレビ小説 ブギウギ Part1』(NHK出版)にて蒼井は礼子のキャラクターについて、「礼子は梅丸少女歌劇団(USK)の娘役トップスター。ゆえに孤独ですし、静かだけれど意地とプライドがある人なので、スズ子たちに何でも話せるわけではありません」と語っている。
脚本と演出があってのことではあるが、これまでの登場シーンにおける“蒼井優=大和礼子”の存在は、まさに先述した発言を体現するものだった。セリフというセリフを発する機会はなく、蒼井はただその佇まいのみで、礼子がプロの歌い手にして踊り手であることを証明してみせている。
これは優れた演技力を持っていれば実現できるというものではもちろんない。伸ばした手の指先の動きや足の運び方、そしてそのときどきの視線の流れといった細部にこそ、リアリティが宿っていなければならない。これらの細部のパフォーマンスの破綻は、全体の破綻につながる。この礼子の役どころは、やはりそれ相応の経験者でなければ務まらないのだ。