『きのう何食べた?』が描く“家族”のあり方 シロさんとケンジが新たな課題に直面する

『きのう何食べた?』が描く“家族”のあり方

 “家族になる”ということは、共に歳を重ね、その中で出てくる“ままならない”事情を互いに引き受け合うことだとも言えるだろう。その中には劇場版で度々登場する病や死も含まれる。このあたりはドラマ版season2でもう一段深く描かれることになりそうな気がする。

 シロさんとケンジが“家族になる”ことで、2人だけの関係値や絆を強固にし、閉じた関係性に向かうのではなく、改めて自身の両親をはじめとした周囲との繋がりを見つめ直し、拡張した関係性に心地良さを見出していくのがなんとも豊かだ。自分たちの関係性を「世間では普通じゃないと思われるわけだし」と言ったケンジだが、決して社会の不寛容さや無理解に意固地になってしまうのではない。シロさんのスーパー仲間の富永佳代子(田中美佐子)やその店員(唯野未歩子)、小日向さん(山本耕史)と航カップルなど血の繋がりだけに限らない関係性や居場所が各々の人生としっかり繋がり広がっていることが随所に散りばめられていた。

 最後に、劇場版からの新キャストで美容師の後輩・田渕(松村北斗/SixTONES)の明け透けな指摘から、大胆なイメージチェンジを図ったケンジのやけにハードボイルドな金髪姿とシロさんのリアクションにもぜひ注目していただきたい。

■放送情報
劇場版『きのう何食べた?』
テレビ東京系にて、10月1日(日)21:00~23:24放送
©2021 劇場版「きのう何食べた?」製作委員会 ©よしながふみ/講談社

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