『らんまん』を盛り上げたパワフルな若手俳優たち 万太郎を支えた“家族”を振り返る

『らんまん』を支えたパワフルな若手俳優たち

 大学で研究室に属さず、自分の研究室も作らなかった万太郎にとって、自然とできた後継者・虎鉄の存在は大きかった。虎鉄によって万太郎の研究は後世に引き継がれていくことになる。万太郎と出会った頃の虎鉄を演じたのは寺田心。高知の遍路宿「角屋」の息子だった虎鉄は、植物が好きな好奇心いっぱいの少年だった。熱中できるものがあるが、地元の名家の跡取りという状況は、土佐にいた頃の幼い万太郎のことを思い出させた。寺田といえば、「天才子役」というイメージを持っている人も多いだろう。たしかに寺田は数々のドラマで重要人物の幼少期を演じ、無邪気で可愛らしい立ち振る舞いでCMやバラエティに引っ張りだこだった。そんな彼も今や、子役とは簡単に言えないくらいに成長。その演技も順調に幅を広げているようで、寺田は無邪気さもありながら、宿屋の長子としての責任感も感じ始めているまだ少年の虎鉄を絶妙なバランスで演じた。

 万太郎との出会いをきっかけに植物学への思いが大きくなり、実家の遍路宿は妹に任せ、両親を説得して上京してきた虎鉄を演じたのは濱田龍臣。そんな情熱を持って来たからには、万太郎と同じく周りが見えなくなるくらいの猪突猛進なところがあるのだろうと思いきや、濱田は虎鉄のそういうところを大切にしながら、根は優しく気弱なところをプラスして演じてみせた。それもあってか、虎鉄は登場から一気に愛すべきキャラクターに。牧野家と同じ長屋に住み、千歳との結婚もあって、虎鉄はなくてはならない存在となった。線が細いほかの人物に比べて、虎鉄はやや恰幅がよくどっしりしていた。その様子には安心感が感じられた。

 朝ドラ出演を機に飛躍を遂げた俳優はとても多い。放送は終わってしまったが、本作に出演した若手俳優陣を他の作品で見かけることもこれからどんどん増えていくだろう。彼らの成長や活躍を様々なところで目撃できることは、「らんまんロス」を解消する今後の楽しみの一つになるのではないだろうか。

■配信情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】 
NHK+、NHKオンデマンドで配信中
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK

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