『最高の教師』最終回は何を描く? 『3年A組』から4年、松岡茉優の問いかけを座して待つ

『最高の教師』最終回は何を描く?

 ドラマを追いかけていると、“この作品を観ていてよかった”と思うことがある。9月23日に最終話を迎える『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(日本テレビ系)は、まさにそれに当てはまる名作だった。なぜなら、鳳来高校3年D組の担任教師・九条里奈(松岡茉優)が、私たちにずっと寄り添ってくれたからだ。

 現在ドラマ界は、SNSと親和性の高い考察ブーム真っ只中。本作にもその要素はあって、「#最高の教師」をのぞいてみると、誰が九条を殺したのか? 「私は生徒に■された」の■の中にはどんな言葉が入るのか? その考察で溢れている。

 こうして最終話が迫る中、「あなたが、思い浮かべた未来 それは、『憶測』にすぎない。」という意味深なメッセージが記されている予告動画が投稿された。SNSでは、生徒が犯人だと推理していたが、それ以外の人物が犯人なのではないか、とさまざまな意見が飛び交っている。現に予告のラスト数秒を見ると、九条に忍び寄る影(生徒じゃない?)が確認できるだろう。

 本作が多くの人から愛されるのは、そんな考察要素だけではなく、九条の「本気の教え」に魅了されているからだと私は思う。彼女の言葉が、心に深く突き刺さるのだ。

「世界を変えようと本気で思うなら必要なのは覚悟です」
「自分に起きたマイナスな出来事を、誰かのせいにしてぶつけるのが得意な生き物でしょ。あなたたちは」
「『そんなつもりじゃない』。その言葉が、その行動が、どれだけ相手の心に積もっていくのか。それを想像しないから、こんなことが起こったんです」

 あのD組に座っていて、まるで彼女の授業を受けているような感覚に陥る。第1話の九条と今の九条の表情がまるで違うのは「覚悟」を持って授業をしているから。『最高の教師』を観終わったあと、どこか疲れを感じるのは、そんな彼女の「覚悟」を全身に浴びているからなのかもしれない。

 ただ、この特殊な「疲れる」という経験は初めてではない。2019年に放送された菅田将暉主演のドラマ『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)でも、いい意味で心が疲弊したのを覚えている。菅田の放つ言葉が、私の心にも毎週グサグサと刺さって痛かった。

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 特に最終話のメッセージは圧巻だった。3年A組の生徒を人質にとっていた担任・柊一颯(菅田将暉)が、SNSの生配信を開始。間違った使い方をするネットユーザーに「たいして知りもしないのになんであんなに叩けるんだよ」「お前らネットの何千何万という悪意にまみれたナイフで、何度も何度も刺されて景山澪奈(上白石萌歌)の心が殺されたんだよ!」「周りに流されて意見を合わせることしかできないお前に言ってんだよ!」。

 そんな柊の訴えによって、誹謗中傷を書き込んでいた誰か一人でも踏みとどまれば、自分がここに立っている意味がある、と告げる。このシーンは、柊がカメラ目線だったため、まるで視聴者に訴えているような場面だった。

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