「あざと連ドラ」第8弾主題歌 八木海莉「メタモルフォーゼ」、視聴者を引き込んだ親和性

あざと連ドラ主題歌の親和性

 シンガーソングライター・八木海莉が歌う「メタモルフォーゼ」。同楽曲は、バラエティ番組『あざとくて何が悪いの?』(テレビ朝日系)で放送されていたドラマ企画「あざと連ドラ」第8弾『あざとい女の男運』の主題歌として、その親和性の高さが光っている。

 まずは、簡単に彼女のキャリアを振り返る。八木は中学卒業後すぐに単身で上京。YouTubeで弾き語りカバー動画をアップロードし、注目を集めるようになった。その勢いのまま、2021年にはアニメ『Vivy -Fluorite Eye’s Song-』にて主人公・ヴィヴィの歌唱に抜擢。「レコチョク上半期ダウンロードランキング2021」の新人アーティストランキングにて1位を獲得した。さらに2022年にはストレイテナーのホリエアツシや、ORANGE RANGEのNAOTOらのアーティストとも楽曲でコラボ。2023年2月には日本橋三井ホールにて2daysのワンマンライブを成功させた今注目のアーティストだ。

 今まさに勢いのある八木。そのため、彼女の楽曲が「あざと連ドラ」への主題歌の起用が発表された際には、ファンを中心に「海莉ちゃんすごい!」などと称賛と喜びの声が上がっていた。また、八木が楽曲の宣伝コメントVTRで同番組に出演した際には「ついにテレビだ!」「(今以上に)見つかってほしい!」と活躍を願う声も。そんな後援もあり、今後さらに活動の幅を広げていくのではないかと感じさせた。

 八木の「メタモルフォーゼ」が主題歌に起用されているのは、シリーズ第8弾『あざとい女の男運』。同ドラマは流行に敏感で、あざとい主人公・小田切洋子(守屋茜)を中心に展開されるラブストーリー。学生時代からなかなか運命の彼に出会えず、30歳の誕生日には、順風満帆な付き合いをしていると思っていた恋人・慎二(古屋呂敏)の浮気が浮き彫りになるなどタイトル通り男運のない洋子。そんな彼女が慎二と別れ、運命の恋を探し求める様子が描かれた物語だ。

八木海莉 『メタモルフォーゼ』

 「メタモルフォーゼ」の歌詞にフォーカスすると、サビの〈君に見惚れて ねぇ クラクラしてるんだ〉の部分は、ストレートに洋子が新たな恋に落ちていくさまを描写しているようだ。また、主題歌とあり、ドラマのスタートのタイミング、前回までの振り返りシーンなどで使用されることが多い同楽曲。洋子のパーソナルを紹介するVTRであることも多いというのも起因して、あざとくも打算的な洋子というキャラクター自身と重なるところがある。例えば〈難しいやぁ〉〈もどかしいやぁ〉などの歌詞、そして少しだけ力を抜いたような歌い方は、まるで意中の相手の前だとかわいくなってしまう恋する乙女心を彷彿とさせる。サビの〈わからないように君の瞳(め)を掴む バレないように恋人の前でさ〉は、言うまでもなく小悪魔的な主人公のよう。聴けば聴くほど、洋子との親和性が高いように思える。

 さらに、恋する気持ちを表しているのは歌詞だけではない。ベース音から始まり、ギターの音が重なってくるイントロ部分は盛り上がっていく恋の中で、早くなっていく鼓動のようだ。ちなみにこの楽曲、作詞・作曲・アレンジ・アートワークや映像などをすべてセルフプロデュースしているWurtSによる初の提供作品。ベース、ドラムの演奏には所属レーベルの先輩でもある、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの山田貴洋(Ba)、伊地知潔(Dr)が参加。その豪華さで、音楽ファンからも注目の1曲となっている。サウンド面も視聴者の心を高まらせ、ストーリーに没入させる要素の1つになったことは間違いないだろう。

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