『この素晴らしき世界』は味わい深いヒューマンドラマに 明らかになった若菜と夏雄の関係

『この素晴らしき世界』夏雄と若菜の関係

 妙子(若村麻由美)と莉湖(木村佳乃)は一世一代の反撃に出る。『この素晴らしき世界』(フジテレビ系)第8話では、先週までの暗い雰囲気から一転、全員が一丸となって業界の悪しき風習と戦おうという姿勢を見せた。

 莉湖は沖野島(吉田宗洋)の一件を告発し、プロダクション曼珠沙華をたたもうとしていた。だが安原(西村まさ彦)が邪魔に入る。安原はプロダクション曼珠沙華の社員とタレントを移籍させるための新会社を設立していたのだ。さらに國東(堺正章)から設立の了承を得ることで、沖野島の件を揉み消そうとしていた。妙子と莉湖は、一時は全てを諦めようとするも一念発起。浜岡家の家族会議で知恵を絞り、詩乃(平祐奈)やあきら(中川大輔)、蛍(永瀬莉子)、そして浅野(佐戸井けん太)までも巻き込み、壮大な告発劇を仕掛けようとする。だが國東や安原もそう簡単に事を進めさせはしない。妙子がなりすました若菜が告発をする前に、本物の若菜(若村麻由美:2役)をテレビの生放送に出演させて全てのネタバラシをしようとしていた。幾重もの攻防が重なる中、緊張の生放送を迎える……。

 これまで手を取り合ってきた妙子と莉湖、夏雄(沢村一樹)らが改めて力を合わせて正義のために立ち上がる。夏雄のように芸能界のしきたりを大事にしてきた人たちさえも妙子の価値観に揺さぶられて動き出す姿には、思わず目頭が熱くなった。これまで妙子が若菜のまわりにいる人々に対して真っ直ぐに接してきた信頼関係が全て、この第8話に集約されているとさえ感じられる。

 さらにこの大団円にロマンを添えるのは、夏雄だ。ここにきて明らかになった「Mr. Summer Time」の正体は2人であり、その1人が若菜と不倫写真を撮られた刃月恭介(椎名桔平)だったのだ。そこで刃月は、夏雄に不倫写真の背景を話す。実は、刃月は余命宣告をされており、若菜とはやましい関係ではなかったと。だがそこで夏雄は、若菜が本当に愛していたのは刃月だったことを明かす。これまではっきりと語られなかった夏雄と若菜の関係が明らかになり、夏雄が度々話していた「カゴの中の鳥」という言葉が一気に重みを増す。若菜は、自由な恋愛さえ許されず、家族になりたい人と一緒になることさえ諦めていた。そして天性の女優として「水田夏雄の妻」という役を演じ続ける人生を歩んだのだ。

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