『この素晴らしき世界』妙子のなりすまし生活が一気にピンチに 脚本・烏丸マル太の正体

『この素晴らしき世界』妙子がピンチに陥る

 家族というものは、時にボタンのかけ違いのようにうまくいかないことがある。このかけ違いを、そっと正してくれるのが妙子(若村麻由美)だった。『この素晴らしき世界』(フジテレビ系)の第6話では、芸能界の話から一転、妙子や莉湖(木村佳乃)の暮らしにフォーカスが当たる。

 莉湖のもとに孫の信男 (須山結斗)が来てからというもの、妙子は家事や育児を手伝うようになった。そこで妙子は、莉湖の娘の亜美(尾碕真花)が信男を置いて行った理由を聞かされる。それは、亜美の元夫である貴一郎(松村遼)が重篤な状態にあったから。亜美は貴一郎の病院に付き添うために子どもを預けたのだ。妙子は、すれ違ったままの亜美と莉湖の心をそっと近づける。だが一方で、妙子の家庭も大変なことになっていた。陽一(マキタスポーツ)が詩乃(平祐奈)と赤ちゃんの話をしているところに息子のあきら(中川大輔)が出くわしてしまう。さらに陽一が帰宅すると家には着替え途中の夏雄(沢村一樹)が。陽一は妙子が浮気をしているのではないかと疑い始める……。

 順風満帆だった妙子の“なりすまし生活”が、ここにきて一気にピンチに。先日の地方ロケの一件で、陽一と詩乃に面識を持たせてしまったことから2人の間の事情にあきらが気づいてしまう。そして陽一は、自宅に上がり込んでいた夏雄の存在をかなり怪しんでいた。夏雄は相変わらずひょうひょうとしており、半裸でいるところを主(あるじ)に見られたくらいでは動揺しない。そんな夏雄らしさが余計に、不倫相手としての絶妙なポジショニングを感じさせるのだ。さらに莉湖たち母娘の仲を取り持つために妙子がついた嘘を、陽一は見破ってしまった。妙子はただ“なりすまし生活”を頑張っているだけなのに、思わぬ浮気の疑いはどんどん深まってしまうのだった。

 妙子が莉湖の家族の絆を取り戻そうと躍起になる裏で、このすれ違いぶりが起きている皮肉もまた『この素晴らしき世界』の脚本の面白さ。あちらを立てればこちらが立たずの展開に、過去のエピソードが丁寧に絡められ、それぞれのキャラクターの想いは一層際立つ。“なりすまし生活”が、芸能界ではなく家族からほころび始める点も、家庭を大切にしてきた妙子にとって痛ましい。

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