『らんまん』今野浩喜の好演がもたらした大窪の“愛” みえと寿恵子の痛快な最強タッグも

『らんまん』大窪に向けたい最大限の敬意

 彼が大学を去った明治27年、移ろいゆくのは大学教室の様子だけではない。日清戦争での勝利は、みえ(宮澤エマ)の料亭の景気にも影響を与えていた。陸軍も勝ち気で座敷を急に取り、夜も遅いのに芸者を連れてこいと大きな気持ちで振る舞う。

 みえから芸者が到着するまで場をつなぐように指示された寿恵子は、彼らをいなすどころか、持ち前の巧みな語りで『南総里見八犬伝』を披露。芸者が来たので話を中断して終わらせると「おい、続きは!?」と求められる始末だ。そこで「続きは馬琴先生で」と誘導するあたりまで、完璧な推し活。そんな彼女の容姿ではなく“キャラクター”に、皆がおひねりを渡す、という描写も品があって素晴らしい。突然の来客にもテキパキと対応するみえと、窮地にたっても機転を利かせる寿恵子のタッグは最強だ。

 そして寿恵子が料亭で働き出したことが、万太郎が見る世界だけでは知り得なかった、日本全体の動きがドラマの中で明かされる意味を持つことが色濃く表れた今回。以前は政界の仕事をしていた田邊の存在が、その役を担っていた。寿恵子が岩崎弥之助(皆川猿時)に夫・万太郎の話をしていたから、今度の台湾に派遣される調査団の一人として話が巡ってくる。

(右奥)槙野万太郎役・神木隆之介

 大窪の去った植物学教室は、ドイツから細田(渋谷謙人)が新たな助教授として戻ってくると、早速みんなで新しい顕微鏡を覗き、その輪の中に万太郎が入れないという様子が描かれいて少しつらい。しかしそんな時にやってきたのが、陸軍大佐の恩田(近藤公園)だった。彼の直々のオファー、台湾という未開拓地での調査で万太郎は自分のやりたい“植物学”ができるのだろうか。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK

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