『転職の魔王様』は女性の視点で転職を描く 演技派の山口紗弥加と黒川智花が共演

『転職の魔王様』は女性の視点で転職を描く

 仕事は男性だけのものではない。あえて指摘するまでもないが、企業戦士やビジネスマンという言葉から想起するのは、スーツを着てバリバリ仕事をこなす男性で、女性は脇に追いやられてきた。しかし、性別に関係なく、多様なキャリアを追求する時代に入っている。そうであるなら、転職を扱ったドラマでも、男性と同じくらい女性が注目されるべきだ。女性の視点で転職を描いた本作は、いまだに変わろうとしない現実に一歩先んじていると言えないだろうか。

 広沢からバトンタッチした来栖(成田凌)は、いつもの感じで晶穂に接する。ここまで観てきた視聴者にはおなじみの光景だ。愛想がなく、歯に衣着せない来栖は、晶穂にも躊躇せず切り出した。転職の相談に来る求職者に、本音で何を求めているか問いただす来栖と、広沢のどちらが優れているか議論することにさしたる意味はない。燃え尽きる寸前に会社をドロップアウトし、くすぶったままの晶穂に来栖が向けた「あなたが変われば、あなたのいる環境そのものが変わるかもしれない。人も会社もいつだって変わることができるんです。変わろうとする決意さえあれば」は、希望と覚悟を問いかけるものだった。

 三下り半を叩きつけた会社に「戻ってきてほしい」と請われても、たいていの場合、会社と社員の関係は変わらなくて、同様の問題が再燃するだけだし、辞めて行った人間に向けられる周囲の厳しい視線を考えると、出戻ることは現実的に難しいだろう。それでも、時にご都合主義と言われても、こうあってほしいという世界を眼前で提示することには意味がある。来栖の言葉を借りるなら、それは変わろうとする決意となり、現実を変える力になるからだ。

■放送情報
『転職の魔王様』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週月曜22:00〜放送
出演:成田凌、小芝風花、山口紗弥加、藤原大祐、おいでやす小田、前田公輝、井上翔太、井本彩花、石田ゆり子
原作:『転職の魔王様』『転職の魔王様2.0』額賀澪 (PHP研究所)
脚本:泉澤陽子、小峯裕之
音楽:横山克、橋口佳奈
プロデューサー:萩原崇、石田麻衣、櫻田惇平
監督:堀江貴大、丸谷俊平、保坂昭一
主題歌:milet「Living My Life」(SME Records)
OPENING SONG:LIL LEAGUE from EXILE TRIBE「Monster」(rhythm zone)
制作協力:ホリプロ
制作著作:カンテレ
©︎カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/tenshokumao/
公式Twitter:@tenshokumao
公式Instagram:@tenshokumao

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