『転職の魔王様』は女性の視点で転職を描く 演技派の山口紗弥加と黒川智花が共演

『転職の魔王様』は女性の視点で転職を描く

 ドラマならではの展開がある。あまりにもタイミングが良すぎる偶然だったり、天文学的な確率で起こる運命の出会いに、私たちは心をわしづかみにされる。それが現実に起こり得ないとわかっていてもだ。『転職の魔王様』(カンテレ・フジテレビ系)第7話には、目をふさぎたくなるリアルと夢のある結末が同居していた。

 千晴(小芝風花)たちが働くシェパードキャリア。転職エージェントの同社の強みは、多様な職歴を反映したキャリアアドバイザーの面々だ。第7話でフィーチャーされたのは、千晴の先輩アドバイザーである広沢(山口紗弥加)だった。広沢の夫が出張で不在にしている間、残業できない広沢のため、千晴がコンビを組んでフォローすることになった。

 広沢といえば、ど真ん中のキャラがいない職場にあって貴重な“ネアカ”キャラクターだ。大手の転職エージェントに在籍していた広沢は、社長の洋子(石田ゆり子)に誘われて、シェパードキャリアに移ってきた経緯がある。広沢と千晴は、求職者の皆川晶穂(黒川智花)と面談する。緊張気味の晶穂に寄り添いながら、丁寧に話を進める広沢に千晴は好印象を抱く。晶穂の希望は「人がたくさんいる」会社で、「1人2人休んでもちゃんと(仕事が)回る会社」。漠然としているようで、そこにはちゃんと理由があった。

 2度目の面談では、広沢の一言を耳にした瞬間、晶穂の表情が変わった。晶穂は、担当を広沢から交代してくれるように頼む。広沢の何が晶穂の気分を害したのか。様子がおかしくなったのは、広沢が応募企業を提案している時だった。産休や育児休暇制度が充実した会社の説明に続いて、広沢自身も子育て中であると話し、千晴のサポートを紹介した。その言葉が晶穂の記憶を呼び覚ました。

 第7話では議論が紛糾しがちな難しいテーマに果敢に挑んだ。企業として産休や育児休暇を推進することは奨励されるが、その陰でしわ寄せを食う人たちがいる。小規模な会社で、男性ではなく、女性の同僚の間で起きるいくつかの問題を、きめ細やかなタッチで拾っていた。仕事と結婚、あるいは家庭との両立は、本作の第2話また第4話でも取り上げられており、再来するテーマは本作がこの問題を重視していることを示している。

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