『桐島、部活やめるってよ』から『最高の教師』へ 松岡茉優の冷厳な演技に圧倒される

『最高の教師』松岡茉優の演技に圧倒される

 松岡茉優の冷厳な演技に圧倒される。その緻密さと、冷静さと、キャラクターの持つ強さに見え隠れする“恐怖心”を表現するさまにーー。

 もちろんこれは、放送中のドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(日本テレビ系)での松岡のパフォーマンスに触れてのことである。学園ものである本作において彼女が演じるのは、主人公の教師・九条里奈。自由奔放でありながら個々に秘密を抱えた生徒たちを変えるのは、アツい教師像ではなく、松岡が体現する低温火傷してしまいそうな冷厳さだ。

 本作で松岡が演じる九条とは、時代の流れに身を任せ、生徒に寄り添うことをあきらめた化学教師。とにかく生徒たちを社会へと送り出せさえすればいいわけだが、彼女は卒業式の日、教え子の誰かに突き落とされて1年前にタイムリープ。1年後に自分を殺害するであろう“30人の容疑者”を前に、彼ら彼女らに寄り添うことを九条は決意するのだ。

 芦田愛菜を筆頭に、奥平大兼、加藤清史郎、當真あみ、山時聡真といった次代を担う若手俳優らが演じる生徒たちは、誰もが何かしらの問題を抱え、“クラス”という小さな世界でサバイブしようともがいている。

 いまやそんな生徒たちにたった一人で立ち向かう教師のポジションを務めている松岡も、かつては問題のある生徒だった。そう、『桐島、部活やめるってよ』(2012年)でのこと。同作が公開された2012年当時、出演者の誰もが次代を担う若手俳優であり、松岡もその一人だったのだ(そして現にいまは誰もがエンタメ界の最前線に立っている)。演じたのは野崎沙奈。クラスメートの中でもイケてる女子グループの一人だが、どうにも品性に欠けるキャラクターだった。何かに懸命に打ち込む人々に対して冷笑的で、平気で同調圧力をかける。そんな厄介な生徒だったのだ。

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