『最高の教師』鵜久森が1周目と同じ日に命を落とす 九条に待ち受ける結末への予感
鵜久森(芦田愛菜)は自分と同じ“2周目”を生きているのかもしれない。前回のエピソードの終盤で九条(松岡茉優)が抱いたちょっとした引っ掛かりのような疑問が、8月19日放送の『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(日本テレビ系)第6話の冒頭にあった鵜久森のナレーションによって、その通りであったことが判明する。5月に不登校になり家に閉じこもりがちだった10月のある日、自ら橋の上から身を投げた彼女は、気が付くと4月の始業式の日に戻っている。そこで明らかに様子のおかしい、すなわち“1周目”の時とは違う九条に出会うわけだ。
10月に自ら“1周目”を終わらせた鵜久森の葬儀に足を運んでいる九条は、その後数カ月を生きたのちに、卒業式の日に校舎から突き落とされて“1周目”を終える。半年近い間隔を空けてそれぞれ分岐した鵜久森と九条が、同じ“2周目”で行き合うというのは少々都合が良すぎるタイムリープ展開にも思えるが、その辺りは良しとしておこう。今回のエピソードはそのように同じ境遇に置かれた2人を主軸にしながら、鵜久森と彼女に想いを告げた東風谷(當真あみ)との関係にフォーカスしていく。たどり着く答えは、鵜久森が感じていた“3周目はない”ことだけでなく、“1周目の続き”も存在しないということだ。
始業式の日にタイムリープしたことで、“自分が死ぬ未来を変える”と決意した鵜久森と、そんな彼女にいつの間にか“未来を変えるための覚悟”を教えていた九条。お互いの秘密を共有し合った10月初旬のある日。鵜久森は相楽(加藤清史郎)に呼び出され、「これまでのことは一回忘れて」と謝罪をされるのだが、「心のない謝罪は受け入れられない」と突き返す。一方、九条はひとりで思い悩み休学を申し出てきた東風谷のもとを訪ね、「好きと言うのは勇気」という言葉と、「あなたは本当はどうしたいですか?」と投げかけるのである。
九条のセッティングによって、化学準備室で対話する鵜久森と東風谷。このやり取りで、今回のエピソード序盤に描かれた鵜久森の“2周目”の行動の数々がいくつも補強されていく。“1周目”の時にも同じように東風谷から想いを告げられたこと。第1話で東風谷が「何でもします」と言った九条に内申点を持ち出して直談判した時に、外で鵜久森が待っていた理由などなど。そしてなぜ鵜久森に、“2周目”が与えられたのか。未来を変えるという先を見据えたチャンスとしてではなく、東風谷を追いかけることだったとすれば、すなわち“2周目”というのは、やり残したことをやり直すための機会に過ぎないわけだ。