『何曜日に生まれたの』すいと雨宮がまさかの再会 野島伸司は若い世代に何を伝える?
そんな雨宮はマネージャーであるすいに学校で禁止されているバイク通学がバレ、実はサッカーよりもバイクが好きなことを明かした。すいも人身事故を目の当たりにしたショックで電車に乗れなくなったことを告白し、互いの秘密を共有することで距離を縮めた2人。野島は明らかに、少女漫画の王道的展開を意図的に盛り込んでいる。また、雨宮のキャラクターがドラマに出てきたら違和感になりそうなところを、うまくチューニングを合わせて物語に落とし込んでいるのがYUだ。圧倒的なオーラで観るものを魅了するとともに、すいに再会できた喜びと、自分のせいで辛い思いをさせてしまった彼女への申し訳なさをたっぷりと表現する繊細な台詞回しに心打たれた。
ここで疑問に感じるのは、すいはなぜ雨宮ではなく江田が好きだったのかということ。雨宮を好きになる理由は十分すぎるほどあるのに、彼女の気持ちはまだ「お前が死ねばまだよかった」と自分にひどい言葉を浴びせてきた江田にあるように思える。今回、江田はそのことをすいに謝罪したものの、ビンタ一つで許せるものなのだろうか。さらに、江田はすでにすいの親友・瑞貴(若月佑美)と結婚している様子。当たり前ではあるが、すいが引きこもっていた10年の間にも同級生たちの時は流れている。
制作発表会見では、「コロナ禍でキャンパスに通えず、そのまま何年間もリモート授業になり、そのまま退学した人やり、引きこもりになってしまった、独特特殊な世界の、若い世代の人たちのことがずっとひっかかっていた」とも語っていた野島。公文がラノベしか書かない理由について語った「俺はまだ価値観の固定しない世代に向き合いたいんだ」という台詞は、彼自身の言葉にも思えた。アニメや漫画のような展開を盛り込みながら描く、周りとは少し遅れて時が動き出したすいの物語を通して、野島は若い世代に何を伝えようとしているのか。少しずつそのメッセージ性が見えてきそうな予感がする。
■放送情報
『何曜日に生まれたの』
ABCテレビ・テレビ朝日系にて、毎週日曜22:00〜放送
TVer、ABEMAにて、地上波放送終了後見逃し配信
TELASA、U-NEXTにて、第1話~最新話まで見放題配信
出演:飯豊まりえ、溝端淳平、井上祐貴、YU、若月佑美、片山友希、濱正悟、早見あかり、シシド・カフカ、陣内孝則ほか
脚本:野島伸司
企画・プロデュース:清水一幸
プロデューサー:南雄大、松原浩、柴田裕基、難波利昭
制作プロデューサー:奈良井正巳
演出:大塚恭司、岩本仁志、松原浩
音楽:福廣秀一朗
主題歌:The Hollies「Bus Stop」
制作著作:ABCテレビ
©︎ABCテレビ
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