吉岡里帆、節目の年に芽生えてきた心境の変化 「“カッコいい先輩だな”と思ってもらいたい」

吉岡里帆、節目の年に芽生えてきた心境の変化

「夢はそんな簡単に叶うものではない」

ーーかなりアート色の強い映画でもありますよね。

吉岡:撮影方法が、今まで自分がやってきたこととまったく違ったんです。監督も含め、ヘアメイクさんもスタイリストさんもカメラマンさんも、みんな映画の現場が初めての人ばかりで。なので、“映画の現場あるある”みたいな、こちら側の“当たり前”が全然通じませんでした。「このシーンとこのシーンはつながってるので、髪型は一緒じゃないと不自然ですよ」みたいなことを私がヘアメイクさんに言うと、「え、でもかわいい方が良くない?」って返ってくるみたいな(笑)。そういうカルチャーショックが何度もあって、すごく楽しい現場でした。

ーー完成した作品にも、映画の常識とはかけ離れたような演出や編集が結構ありました。

吉岡:そうですよね。だから私も完成するまでの間に、「これ成立してますかね?」ということを何度も千原さんに確認していたんです(笑)。撮影では夢か現実かわからないようなシーンをたくさん撮っていたので、実際にどういう映像になるのかがまったく想像できなくて。ドキドキしながら現場に行っていたことを思い出しました。

ーー完成した作品を観たときは驚きもあったのでは?

吉岡:本当にビックリしました。千原さんは音楽や映画を愛していらっしゃる方なので、音楽の使い方もそうですし、名作映画へのオマージュを感じられるカットもあったりして。アートディレクターの方が映画を撮ると、こんなに面白い作品ができるのかと、鑑賞後は新鮮な気持ちでいっぱいでした。

ーーそんな本作で、吉岡さんはクリエイターの夢をあきらめかけているアイスクリーム屋のアルバイト・常田菜摘を演じています。

吉岡:「自分なんて……」と悩んでしまうタイプの菜摘は自分とは正反対で、初めて台本を読んだときは共感できるポイントはほとんどなくて。でも、自分を確立できていない人だからこそ、誰かと出会ったときに埋めてくれるような感覚になれるのかなと思って、そこにキャラクターとしての魅力を感じました。どこか欠けている部分があるからこそ、いろんなことを素敵だと受け止められるのかなと。

ーー吉岡さんご自身は夢を簡単に諦めるタイプではないと。

吉岡:私は結構現実主義者で、夢はそんな簡単に叶うものではないと思っていて。やっぱり時間をかけて積み重ねていくものだと思うんですよね。こんな説教臭いことを言うと、菜摘には嫌われてしまうかもしれませんが(笑)。

ーー夢を叶えられている吉岡さんだからこその言葉だと思います。 今年は30歳を迎えられ節目の年にもなるかと思いますが、何か心境の変化はありますか?

吉岡:30歳になったからと言って、何かが劇的に変わることはないんですよね。でも、今回共演したモトちゃんや詩羽ちゃんみたいに、年下の子たちと共演する機会がちょっとずつ増えてきていて。そういう人たちに「カッコいい先輩だな」と思ってもらいたいなという気持ちは芽生えてきました。やっぱり自分が残す作品だったり、仕事の仕方みたいなものは、カッコよくありたいなと思うので。その考え方はここ最近で結構変わったことかもしれません。いままでは、憧れる先輩たちの背中を追いかけて、「あの人みたいになりたい」とか「私にはここが欠けてるからああいうふうになれるように頑張らなきゃ」みたいな気持ちが強かったんですけど、いまはどう見えるかはさておき、自分らしくちゃんと一歩一歩前に進んでいくことがすごく大事だなと。30歳になった節目の年に、そういうことを思い始めるようになりました。

ーー後輩の俳優さんからアドバイスを求められることもありそうですね。

吉岡:「どうしたらそんなにメンタル強くいられるんですか?」みたいなことはたまに聞かれます(笑)。

ーーそういうときはどう答えるんですか?

吉岡:まずは“時間が解決する”ということ。それと、自分が弱点だと感じていることが、意外と他の人からすると個性になったりすることがあるので、自分自身ですべてを否定しないように、ということを伝えています。あとはやっぱり見てくれている人は見てくれているので、誠実に、真面目に、誰よりも一生懸命に向き合っていれば、いつか花開くときが来るということを、実体験を踏まえながら話しています。

ーー素晴らしいアドバイスですね。吉岡さん自身は今後何かチャレンジしてみたいことはありますか?

吉岡:まだまだチャレンジできていないことはいっぱいあります。私はダンスができないので、体を動かすタイプの舞台はちょっと躊躇してしまうところがあって。あとは激しいアクションものだったり、超王道の恋愛ものも意外とあまりやっていないんですよね。

ーーなるほど。言われてみればそうかもしれません。

吉岡:お仕事ものだったり社会派作品だったり、恋愛ものでも、年上の方との恋だったり、変わった設定の恋が多いんですよね(笑)。でもいつかは等身大の恋愛ものにもチャレンジしたいなと思っています。

■公開情報
『アイスクリームフィーバー』
TOHOシネマズ日比谷、渋谷シネクイントほかにて公開中
出演:吉岡里帆、モトーラ世理奈、詩羽(水曜日のカンパネラ)、安達祐実、南琴奈、後藤淳平(ジャルジャル)、はっとり(マカロニえんぴつ)、コムアイ、MEGUMI、片桐はいり、松本まりか
原案:川上未映子『アイスクリーム熱』(『愛の夢とか』講談社刊収録)
監督:千原徹也
脚本:清水匡
エグゼクティブプロデューサー:千原徹也、山本正典、木滝和幸
プロデューサー:勝俣円、塚原元彦
音楽:田中知之
主題歌:吉澤嘉代子「氷菓子」
エンディングテーマ:小沢健二「春にして君を想う」
制作:れもんらいふ
制作協力:DASH、doors
配給:パルコ
©2023「アイスクリームフィーバー」製作委員会
2023年/日本/104分/カラー/4:3/5.1ch/DCP
公式サイト:icecreamfever-movie.com
公式Twitter:@icecreamfever_m
公式Instagram:@icecreamfever_m

▼吉岡里帆 チェキプレゼント▼

吉岡里帆のサイン入りチェキを1名様にプレゼント。応募要項は以下のとおり。

【応募方法】
リアルサウンド映画部の公式Twitterをフォロー&該当ツイートをRTしていただいた方の中からプレゼントいたします。当選者の方には、リアルサウンド映画部の公式TwitterアカウントよりDMをお送りさせていただきます。

※当選後、住所の送付が可能な方のみご応募ください。個人情報につきましては、プレゼントの発送以外には使用いたしません。
※複数のお申し込みが発覚した場合、ご応募は無効とさせていただく場合がございます。

<リアルサウンド映画部 公式Twitter>
https://twitter.com/realsound_m

<応募締切>
8月5日(土)

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