『こっち向いてよ向井くん』赤楚衛二が見せる様々な芝居の引き出し 開花させた大人の魅力
誠実とはいったい何なんだろうか。『こっち向いてよ向井くん』(日本テレビ系)の第2話では、恋がしたいと意気込む向井くん(赤楚衛二)に試練が訪れる。同じ熱量で相手を好きになること、どんなペースで恋愛を進めるべきか、誠実な対応とは……。恋愛にまつわる素朴な“どうしよう”が次々と向井くんに降りかかる。
元気(岡山天音)の店・パイレオへ通うようになった向井くんは、そこでアルバイトをしているアンちゃん(久間田琳加)にたまたまTシャツをプレゼントすることになる。それをきっかけに、アンちゃんと向井くんは急接近。アンちゃんは向井くんに好意を持ち、積極的にデートに誘うようになった。だが向井くんは、10歳年下のアンちゃんの恋のペースになかなかついていけない。朝まで続くLINEや、寝落ち通話、1日中送られてくる連投メッセージにちょっと疲れつつも、好意を持ってもらえたからにはアンちゃんを好きになろうと努力していた。だが向井くんが誠実に努力しているつもりでも、それは受け止めているだけなのだと洸稀(波瑠)に指摘されてしまう。真摯な恋のためにアンちゃんと向き合おうとする向井くんだが、その頃アンちゃんには彼氏ができていて……。
自分なりの誠実さを見せるも、アンちゃんとなかなか恋のペースが合わなかった向井くん。何とかアンちゃんと同じ熱量で好きになろうと努力するが、10年ぶりの恋はなかなかスムーズには進まない。そんな不器用さ全開の向井くんを、赤楚衛二は見事な芝居で表現する。『こっち向いてよ向井くん』は一言で表すことが難しい男女の心の機微を詳細に視聴者に伝える必要がある作品だ。「誰かを好きになったわけではなく、恋をしたいだけ」という中途半端な気持ちで恋愛をする“微妙な不誠実さ”や、仕事の片手間にLINEをさばき、お気に入りの腕時計でハグの2分間を計測する“不毛な時間”など、伝えにくい人間の感情をより多くの人に伝わるように描いている。その大役を担うのが、向井くんを演じる赤楚なのだ。
赤楚は、爽やかでかわいらしい笑顔、急に見せる大人びた表情、かと思えばデートで「ナシ」判定されるような情けない姿まで、様々な芝居の引き出しで視聴者の心を翻弄する。これまでは年下ポジション、うるうるの瞳が持ち味だったが、とうとう大人の男としての魅力も開花させたのだ。同じスーツ姿でも『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(テレビ東京系)や『石子と羽男ーそんなコトで訴えます?ー』(TBS系)のときとは一味違った魅力を纏い、ちょっぴりくたびれた姿で「いい年してむきになってイタいな、俺」なんてセリフも言ってしまう。不器用な恋に四苦八苦しながらもカッコ悪すぎないという絶妙な塩梅を丁寧に芝居で表現し、ともすると漠然としてしまいそうなキャラクターを詳細に描き出しているのだ。バドミントンのラケットを傘がわりに笑顔でアンちゃんを家まで送り届けたけれど実は折り畳み傘を持っていた、という大人の哀愁溢れる背中は、向井くんが恋愛をしてこなかった10年間の重みを物語る。赤楚がそれほどに多くのことを視聴者に伝えてくれているからこそ、私たちは台詞で語られること以上に向井くんの心情や作品のすばらしさを理解できるのだ。
次週はいよいよ恋愛だけでなく結婚もキーワードになりそうな予感。ライフステージに変化の多い30代の向井くんが結婚とどう向き合い、折り合いをつけていくのかにも注目したい。
■放送情報
『こっち向いてよ向井くん』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00〜放送
出演:赤楚衛二、生田絵梨花、岡山天音、藤原さくら、財前直見、森脇健児、内藤秀一郎、上地春奈、岩井拳士朗、若林時英、田辺桃子、久間田琳加、市原隼人、波瑠
原作:ねむようこ『こっち向いてよ向井くん』(祥伝社フィールコミックス)
脚本:渡邉真子
演出:草野翔吾、茂山佳則ほか
音楽:FUKUSHIGE MARI
主題歌:NiziU「LOOK AT ME」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
チーフプロデューサー:三上絵里子
プロデューサー:鈴木将大、柳内久仁子、妙円園洋輝
協力プロデューサー:福井芽衣
制作協力:AX-ON、ダブ
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
©︎ねむようこ/祥伝社フィールコミックス
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