2023.07.01 06:00

久保史緒里、乃木坂46と俳優の“夢”を追い続けて思うこと　「“好き”に純粋でいたい」

文・取材＝間瀬佑一、写真＝加古伸弥

「アイドルのイメージを覆す役をやってこそアイドル」

ーー久保さんは、『左様なら今晩は』で映画初出演にして初主演、それから舞台『桜文』に大河ドラマ『どうする家康』（NHK総合）にも出演していて、最近は「久保史緒里さん」という1人の俳優として認知している方も多いと思います。一方で、乃木坂46でもセンターのポジションに立って第一線のアイドルとして活動されていて、今やアイドルと俳優の2軸で活動されている印象を受けます。振り返ってみると、乃木坂46の先輩たちの姿に憧れてグループに入っているわけですが、いま久保さんはどういう現在地にいるのだと考えていますか？

久保：確かに私がこの世界に入ったきっかけは「乃木坂になりたい」という思いで、乃木坂のオーディションを受けて入りました。なのでいつまでも憧れとか、夢や自分のやりたかったことは“乃木坂になる”ということで、先輩たちがいつまでも憧れではあります。でもその中で、乃木坂の先輩方が映画だったり舞台、ミュージカルといろんな場所でお芝居をされていて、それがきっかけで私もお芝居の道に興味を持ちました。今回みたいに1人でグループの外に出て活動するとき、もっといろんな作品とか役に挑戦したいっていう気持ちや欲はありつつ、だけど、常にちゃんと心にあるのは「それが乃木坂の力になったらいいな」という想いです。何かを観てくださったときに「乃木坂の子だったんだ」と思っていただいたのをきっかけに乃木坂の歌番組を観るきっかけになってもらえたりとか、そういうふうになれたら嬉しいなと常に思っています。だから、たぶん自分にとって“やりたいこと”と“守りたいこと”が同時進行で進んでるからこそ、なんか今、すごく幸せなんだろうな、恵まれた環境にいるんだな、と思ってます。

ーーそういう意味では、乃木坂46は従来のアイドル像を壊してる側面があるのかもしれないですね。今や大河ドラマに朝ドラをはじめ、連続ドラマや映画にも当たり前のように名前が出てきますが、これまではこうしたことは一般的ではなかったと思います。この現状において、結局アイドルとはどういう存在だと考えていますか？

久保：そうですね……。表現が合っているかわからないのですが、私は、「アイドルとはこういうもの」みたいな、そういう枠組みのようなものをどんどん外していきたいと思っています。アイドルというカテゴリに括られてしまうことによって制限されてしまうのって、すごくもったいないなと思う。

ーー根強い“アイドル”へのステレオタイプはありますよね。

久保：だからこそ、今回の役はすごく嬉しかったです。“アイドルだから”みたいな考え方とかは世間のイメージで凝り固まったものだと思うので、そういうのを壊していって、後輩たちが自分たちのやりたいこととか、やれることの範囲をできるだけ広げていきたい。アイドルに憧れて入ったけど、私みたいにお芝居の道に惹かれた人間もいるので、そういう子たちが行ける道とか範囲を広げておきたい気持ちがあります。なのでアイドルだからってどんな作品や役をやってもいいと思うし、むしろアイドルのイメージを覆す役とかやってこそアイドルなんじゃないですかね。

ーーさらに乃木坂46加入時を思えば、やりたいことや夢をどんどんと叶えていっているように見えます。その中でいま、仕事やプライベートを問わず純粋に「やりたい」と思うことはなんですか？

久保：やっぱりお芝居が好きなので、これは続けてやっていきたいと思います。でも15歳の中学生で乃木坂に入って、もう22歳になるので、プライベートの面では生活力とか1人で生きていける力をつけて、1人の人間として成長した人でありたいと思います。また、自分の好きなものに対しては常に純粋に好きでいたいです。それは乃木坂だったりお芝居だったりしますが、そういう好きなものに常に純粋にいる、自分の“好き”という気持ちに敏感でいられるようにしたいと思っています。

ーーラジオでも毎回紹介している野球はその最たるものですね。

久保：野球は幼稚園から好きなので切っても切れない縁ですね（笑）。あと料理を作ることとか、もちろんラジオ自体もすごく好きなので、これからも頑張りたいです。

■公開情報
『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』
テアトル新宿ほかにて公開中
出演：伊藤沙莉、北村有起哉、宇野祥平、久保史緒里（乃木坂46）、松浦祐也、高野洸、中原果南、島田桃依、伊島空　黒石高大、真宮葉月、阿部顕嵐、鈴木聖奈、石田佳央、竹野内豊
監督：内田英治、片山慎三
脚本：山田能龍、内田英治、片山慎三
音楽：小林洋平
プロデューサー：菅谷英智、藤井宏二、尾関玄
配給：東映ビデオ
制作プロダクション：Libertas
製作：「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」製作委員会（東映ビデオ、S-SIZE、Alba、Libertas、吉野石膏）　
©︎2023「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」製作委員会
公式サイト：detective-mariko-movie.jp
公式Twitter：@detectiveMariko