背筋が凍るオカルトミステリー『悪鬼』 1人2役を演じるキム・テリの二面性が光る

背筋が凍るオカルトミステリー『悪鬼』

 これからやってくる暑い夏にちょうどいい、背筋が凍るような物語がディズニープラスにて配信されている。韓国ドラマ『悪鬼』。悪鬼に取りつかれている人々を描いたオカルトミステリーだ。

 「会社を辞めて商売でもしようかな」「せめて3日だけ休みたい」など不平不満を吐くばかりの人が渦巻く街の中で、ぼーっと歩く女性。彼女が自殺を図ろうとするところから始まる。彼女・サニョンは、ただでさえお金のない生活の中で、母親が詐欺にあったことでより苦しい生活を強いられることになってしまったのだった。

 タイトルとなっている“悪鬼”、それはたたりをなす妖怪または怨霊のことを指す。人の欲望を聞き入れて大きくなる厄介な存在だ。自殺は、朝鮮時代には、悪鬼のような何者かが陥れた行為だと考えられてきた。本作では、その悪鬼が起こしていく自殺のような事件を中心に物語が進んでいく。

 もしあなたの近くで扉をたたく音がしても、決して開けてはならない。悪鬼がやってくるかもしれないから……。

※以下ネタバレを含みます

 主人公サニョンを演じるキム・テリは、『リトル・フォレスト 春夏秋冬』(2018年)『二十五、二十一』(2022年)に出演した実力派。今回は1人2役を演じており、本来の姿としては母親と2人で必死に生きる姿を見せている。自分が自殺を試みようとしたその日、幼いころに死んだと思っていた父親・ガンモ(チン・ソンギュ)が、自殺をして本当に死んでしまったという事実を突きつけられる。そして葬儀が行われたどこか不気味な屋敷で、祖母に当たる人物から遺品の髪飾りを受け取る。

 同時期にサニョンの影はどんどんと大きくなり、自分の気が付かない間に、不敵な笑みを浮かべるもう一人の自分が姿を現していた。

 それに気が付くのは、ガンモと同じく、大学で民俗学の研究としているヘサンだ。『椿の花咲く頃』(2019年)や『サイコだけど大丈夫』(2020年)などで新境地を見せたオ・ジョンセが、霊が起こす不気味な事件の真相を追っていく。ヘサンの母親は悪鬼に殺され、それを目の当たりにした過去があったのだった。

 ヘサンは、サニョンに悪鬼に取りついていること、そのままだと周りの人間が死ぬことを告げる。最初は気にしていなかったものの、詐欺犯罪者や盗撮をしてきた中学生が相次いで死んだことや、見覚えのない記憶が不意に蘇ることをきっかけに、ヘサンを頼ることになる。

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