ライブアイドル歴10年・ネ兎ねうが語る『【推しの子】』のリアル 「嘘も“優しさ”かな」

ネ兎ねうが語る『【推しの子】』のリアル

「ファンの人のTwitterを毎日ずっと見てるんです」

ーーキャラクターといえば、『【推しの子】』を語るにあたって外せないのはアイの存在です。ねうさんはこれまでの活動の中で、実際にアイのような「カリスマアイドル」を見たことがありますか?

ねう:実際に一緒に10年アイドルやってきたなかでは、あのちゃんかな。「キラキラ系のカリスマアイドル」ではなかったけど、同時期にアイドルシーンを築いてきた存在としては、当時から他のアイドルは絶対やらないようなことをやってましたね。それが「変だ」って言われるんじゃなくて、カッコいいって思われてた。当時、黒髪ボブで、水色の服着て、パンダいっぱいつけてるあのちゃんみたいな女の子がいっぱいいたし、そうやって真似されるっていうのはカリスマ性があるからこそだと思います。当時から一目置かれていましたけれど、(今の活躍を見て)やっぱりって感じです。生きづらかった子たちが自信をもらって生きやすくなっていったんだとしたら、それは本物の影響力かなって。

キングサリ

ーーありがとうございます。第1話で、アイはストーカーとなってしまったファンの名前を当てていました。いわゆる“認知”について、ねうさんは数年単位の空白が開いても認知が途切れないことでファンの間で有名です。普段から続けている努力はありますか?

ねう:努力して、忘れないでいようって思ってるわけじゃなくて。単純に私のことを好きでいてくれる人に興味があるから、ファンの人のTwitterを毎日ずっと見てるんです(笑)。3つくらい非公開リストがあって、その人の好きなものとか、どういう生活をしてるのかとかが自然に入って来るんですよ。顔と名前だけじゃなくて中身も一緒に覚えてるから、しばらく会わなくても、忘れないでいられるのかなとは思いますね。

ーーファンがアイドルを見ているように、ねうさんはファンの方を見ているんですね。

ねう:逆に私の方が見てると思う! 勉強と一緒です。いろんなこと、顔、名前、性格、趣味とかいろんなものに紐付けて覚えてるから脳にこびりついてる。特典会でも、3回目ぐらいで、来てくれたときに名前を言えるようにしようって思ってて。何回も名乗るよりは、「誰々だよね」って言ってもらった方が絶対に嬉しいから。私もそうされたら嬉しいし。認知するまで、その人のことをとにかく考えてるから、忘れにくいっていうのもあるかもしれないです(笑)。

ーー『【推しの子】』ではエゴサのシーンも印象的でしたが、ねうさんはエゴサも早いですよね。

ねう:本当に、ずっとエゴサしてます。

ーーねうさんの特典会で、「ねうさんに会ったことがないけれど、名前を当てられたファンの方もいる」というお話も聞きます。

ねう:それは、事実です(笑)。初めて来てくれた人に「もしかして誰々?」って言って当たってたときは「よしゃっ!」みたいな。私は自分の名前とグループの名前でエゴサするんですけど、よく呟いてくれてる人はもうリストに入れちゃって、エゴサしなくても出てくるようにしてて。それで名前はもう覚えられるし、雰囲気で来てくれたときにわかるんですよね。

ーーねうさんは、Twitterのフォロワーだけでも約2万人いるじゃないですか。それでも「この人はこのアカウントなんじゃないかな」っていうのがわかるものなのでしょうか?

ねう:わかります。脳内でツイートの感じと、喋ってる感じが一致します。

ーー「逆に外しちゃったときちょっと怖いな」っていうのはないですか?

ねう:あります。だからちょっとずつ「もしかして(名前が)◯から始まる?」とか「アイコンこんな感じ?」とか、聞いて当たってら「◯◯!」って言ったりとか(笑)。

ーーそういうゲームありましたよね。

ねう:「絵描いてる?」「もしかして?」みたいな。もはや、ちょっとゲームみたいな感じはあります。

ーー記事を読んでいる方にも「ねうちゃん」での呟き、是非試してみて欲しいですね。

ねう:呟いてくれたら私がすかさず拾いに行きます。でも、たまに出てこない時もあるから怖いですね。2個ぐらいアプリ使ってやってるのですが……。

ーー漏れがないように?

ねう:そうです。普通にTwitterのエゴサの検索のやつと、Yahoo!でも検索できる機能があって、どっちも使ってます。ぜひ「ねうちゃん キングサリ」で呟いてください。

「SNSは得意じゃないし、好きじゃないし、本当はやめたい」

ーー第7話のラストのシーンでは黒川あかねが“化けた”ことでも話題になりました。ご自身のキャリアの中で、キャラ変とまではいかなくとも「キャラクター」やブランディングが変わったと感じる瞬間はありますか?

ねう:キャラクターとしては、さっきも言った通り素に近い感じでやってるので、あんまり変わらないかもしれません。私っていう軸に「ねうちゃん」の“お布団”が巻かれてるみたいなイメージ。でも10年あれば人って変わるじゃないですか。だから、そういうちょっとした変化っていうのはきっとあるんだろうとは思います。「じゅじゅ」から「キングサリ」になったことで、ステージでの見せ方だったり表現の仕方が変わったことで「変わったよね」って思う人もきっといるはず。前のグループの時は、少し冷たい言い方をすると、お人形みたいなアイドルでいるために、ファンの人と一線を引いて接してる部分があって。最近は、より生身でお人形さんじゃない「ねうちゃん」でファンの人と、接することが多くなってきました。そういう意味では、キャラとして明るくなったのかな。ステージでも楽しいときは楽しいを表現するし、最近はより人間味が出ている気がします。とはいえ、この先も基本的にねうちゃんは大きくは変わらないです。

キングサリ ネ兎ねう

ーー過去のねうさんの生誕祭のイベントでは、「ねうちゃんは今に至るまでの全ての積み重ねでできている」というお話もありました。

ねう:そうなんですよね。お布団って言ったけど、木の年輪に近いかもしれないです。一つの軸に、「ねうちゃん」がいっぱい付け足されていくみたいな感じですね。

ーーあかねと言えば、SNSとの付き合い方にひどく悩まされる場面がありました。ねうさんがこれまで経験した、SNSを通じた嬉しかったこと・悲しかったことをそれぞれ教えてください。

ねう:嬉しいのは、やっぱりチェキやアクスタ(アクリルスタンド)、アクキー(アクリルキーホルダー)とかを持ち歩いて写真に撮ったり、ご飯に添えたりしてくれてるのをSNSで見かけた時です。ライブだけじゃなくて、日常にも私が存在してるんだなって思って、嬉しい気持ちになりますね。私がアイドルやってる理由って、「(自分の存在を)忘れないでほしい」という要素がとても大きいので。ライブに来てるときだけじゃなくて、普段から私のことを考えてくれてることがわかる時が一番嬉しいです。

キングサリ ネ兎ねう

ーー「もし自分が死んじゃったときに覚えてくれるのが家族だけになっちゃうから、アイドルになった」と言っていましたよね。

ねう:そうなんです。だから、いろいろな人が日常でねうちゃんを思い出してくれたらいいなと思って。同じバニラの香水をずっと使って、道で嗅いだら「ねうちゃん」を思い出しちゃうようにしてたりとか、紫もずっと担当カラーにして「紫色を見たらねうちゃん思い出しちゃう」とか、サメ好きなところもそう。いろんなところでねうちゃんに繋がるものを散りばめて、みんなの脳に刻みつけてるところです。

ーーその刻みつけたものがねうさんのところに届くツールがSNSという感じでしょうか。

ねう:そうそう。「〇〇見たからねうちゃん思い出した」という呟きを見て、「うまくいってる!」と(笑)。

ーーもしSNSがなかったら確認はできないですもんね。

ねう:確かに。SNSは得意じゃないし、好きじゃないし、本当はやめたい。でもみんなと会わなくても気持ちを確認できるものだから、ずっとやっちゃいます。でもファンの方の中にも、全然SNSをしない人もいるじゃないですか。私はその人が何をしてるのか知りたいのに、知れなくてもどかしいです。会ったときに「全然Twitterやらないよね」とか言って、ファンの方に「怖い」って言われています。

オリコウサン(Live ver) / キングサリ

ーー逆に勧めていくスタイル(笑)。

ねう:「ツイートしてもいいんじゃない、何してんの普段?」とか(笑)。

ーー悲しいことや辛い部分はどうでしょう?

ねう:悲しいのは、SNSで愛情の比率が見えちゃう時かな。ファンの方に他に好きなアイドルさんができたときとか、元から他の子も好きって分かってるけど、最近そっちの方が多いとか。「今日私もライブあるけど今日あっち行ってるんだ」とか、そういうのもあるし。SNSで新しく出会った子にどんどん心惹かれていく様子まで見えちゃうから、好きな人の携帯を覗いてる気分になりますね。「すごい勢いでこの子のこと好きになってる!」みたいな瞬間や、推し変までのストーリーを見てしまうというか。

ーー推し変までのストーリーをアイドル側も見れてしまうのは辛いですよね。改めて、推し変についてどう思いますか?

ねう:いやです、絶対NG! ずっと「グループ内推し変だけはやめて欲しい」って言い続けていて。言ってはいても、実際やる人もいます。推し変してから、私のところに来る人もいて「何で来れるの? 怖い怖い」って思うこともあったり。「メンタルつよ!」って感じなんですけど(笑)。私の所属しているグループそのものを推せなくなって、他のグループに推し変しちゃうパターンは理由があったりするじゃないですか。うちのやり方が好きじゃないとか、こっちの楽曲の方が好きだとか。いろいろあるけど、「グループ内ってどういうこと!?」って。私と別れて親友と付き合ってるみたいな気持ちになっちゃうから、それだけはやめてほしいかな。

ーーしかもそれが「見える」というのもまたキツそうです。

ねう:そうなんです。(特典会の)列に並んでるのとか見えちゃうので(笑)。気が気じゃないです。そわそわしちゃう。

ーーねうさんは逆に自分のことを好いてくれる人に対しては、「絶対的な重めの愛を」というイメージがあります。

ねう:とことん愛すし、愛されてる自信があるから安心です(笑)。

アイドルとしての嘘は「優しさ」

ーー『【推しの子】』では仕事として、嘘をつくことについての考え方がそれぞれのキャラクターごとに描かれています。アイは「私にとって嘘は愛」、アクアは「生身の人間を守るシェルター」と話していますが、ねうさんにとってはいかがでしょうか。

ねう:意見としてはアクアくんに近いです。やっぱりこういう仕事してると「私は知らないけどあっちは知ってる」みたいなことばかりだから、自分を守るための嘘がやっぱどうしても必要になる場面もあって。でも、日々ファンの人と接してるときっていうのは、自分を守るための嘘とはちょっと違うかな。配慮ほど大袈裟じゃないけど、優しさに近い部分が大きいかもしれません。例えば私が体調悪いときにファンの人が「今日元気ない?」って言ってきたとして、「ううん元気だよ」って返すのも嘘になるんだとしたら……嘘も優しさかな、と。アイドルとしてやってるからには、何でも言っちゃうのは違うかもしれない。私自身はそう思っています。アイドルも本当のことばっかりを言ってるわけではないから「嘘といえば嘘」だとは思うけど、「騙そう」みたいな悪い嘘はきっとないと思います。

ーーねうさんは8年間いたグループの卒業もご経験されています。アイドルに「終わり」はつきものですが、ねうさんは「終わりの瞬間」をご自身の中で決めて活動されているのでしょうか?

ねう:決めてはいないです。でも自分がやりきったなって思えた瞬間か、これは悲しい言い方だけど「ここまでかな」って思った瞬間が、やめ時なのかなって思ってて。目標を達成して終われたら、それはもう一番綺麗で素敵だけど、そういうアイドルってなかなかいない。私は今、グループの目標としてZeppでワンマンライブをしたいと思っているのですが、それが叶って終わりじゃないし、どんどん先の目標ができていくから。個人的には10年もやれてるっていうのは、みんなが必要としてくれて、「ねうちゃんでいてほしい」って思ってくれてるおかげだと思うんです。だから私の終わりは、“もう必要とされなくなったら”。みんなから忘れられたら、「ねうちゃん」の終わりかなって思います。

キングサリ ネ兎ねう
ーーアイは「アイドルは嘘という魔法で輝く生き物」と話していますが、ねうさんにとってのアイドルとは何でしょうか。

ねう:最高のエンターテイナーかな。私の思うアイドルもそうだし、私が好きになったアイドルもそう。ステージの上で、そのキャラクターを完璧に演じてくれていたら嬉しいし、そうあってほしい。もちろん、私もそうありたいです。ステージ上でしっかり“ねうちゃん”ってキャラクターを、みんなに届けて行きたいです。

ーー最後にファンの方に一言お願いします! 

ねう:ねうちゃんがねうちゃんとして活動できているのは、ずっと応援してくれている人はもちろん、この10年間で、一瞬でも応援してくれて、一瞬でも好きだなって思ってくれた君たちのおかげです。これからもみんなのことをまるっと包み込んで、駆け抜けていきたいと思います。愛ですっ!

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<応募締切>
7月12日(水)

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