『【推しの子】』は真似したくなってしまうアニメ? 近年のバズの要因を考える

 現在放送中の春アニメのなかで、トップクラスの人気を博しているTVアニメ『【推しの子】』。第1話放送時にはTwitter上で世界トレンド1位を獲得し、その後も放送終了時には作品の関連キーワードが絶え間なくトレンド入りを果たしている。この、作品の面白さだけではなく“拡散されやすい”アニメである点こそが、大作揃いと謳われている春クールの覇権アニメとなった大きな理由なのではないだろうか。

 “拡散されやすい”アニメとは、いわゆるネット上での二次創作がしやすいアニメでもある。作品を何らかの形で利用した歌やダンスなどがバズることで、さらに作品への注目度が上がるという流れは最近の流行りでもある。近年のアニメでも『パリピ孔明』OPの「チキチキバンバン」のダンスや、『チェンソーマン』OPでデンジとパワーが踊っていたダンスなども記憶に新しい。

TVアニメ「パリピ孔明」OPテーマ「チキチキバンバン」【踊ってみた】 with 3D Virtual 英子

 アニメ『【推しの子】』が生んだ最初のバズの波といえば、YOASOBIが担当した主題歌「アイドル」の拡散だろう。アニメの放送開始日より公開したMVは、公開からわずか1カ月で1億回再生を突破するという異例の記録に。<そう嘘はとびきりのアイだ><ルビーを隠したこの瞼>というようなアニメの内容ともリンクするような印象的な歌詞で、YOASOBIの曲でありながらアニメのキーパーソン・アイの曲として一気に作品の名を浸透させるきっかけにもなった。

 現在、さまざまな歌い手や配信者たちが、コスプレをしたり、アニメをイメージさせる画像を用いて「アイドル」の“歌ってみた”動画を投稿している。この主題歌の中毒性とつい自分でも歌ってみたくなるようなキャッチーさが、『【推しの子】』の人気をさらに加速させたと言えるだろう。

YOASOBI「アイドル」 Official Music Video

 さらに『【推しの子】』は、ネット上にみられるファンアートの数も今期の春アニメの中でも頭ひとつ抜けて多い。観ている人がそれぞれの「推し」を決めたくなるようなストーリーも相まって、描きたくなるような印象的なシーンや自分の好きなキャラの神回が用意されているのも『【推しの子】』の楽しいところだ。

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