『らんまん』牧瀬里穂の母としての眼差しと言葉が響く 竹雄との別れの予感も

『らんまん』まつの母としての眼差しと言葉

 そんな2人をさらに心配するのは、どうやらまつも遠くに行ってしまうから。なんと菓子職人・文太(池内万作)が店を辞めて故郷に帰り、実家の温泉宿を継ぐことになっていた。そして、芸者時代からお世話になっていた彼を今度は自分が支えたいと、彼と一緒になる気持ちを明かしたのだ。「決めてないよ!」と言いつつ、「もう“女将さん”はいいよ。“おまつ”って呼んで」と言うまつに、タジタジの文太と両手で口を隠す寿恵子と万太郎。かわいらしいリアクションをよそに、改めてまつは寿恵子に念を押す。

「離れた場所に行けば、あんたのことすぐ助けてあげられないんだよ。2人とも惚れた腫れたじゃどうにもならないんだよ」

 本当にそうだ。近くに住んでいれば結婚前の不安な時期や相手と喧嘩をした時、すぐ実家に帰って英気を養うこともできるし、永遠に愚痴を聞いてもらうこともできる。今の時代は携帯ひとつでどれだけ遠くにいても電話ですぐに会話できるが、それでも寂しい時がある。

 一方、万太郎たちの時代はそれらがもっと大変だった。牧瀬里穂の真剣な眼差しが娘をすぐに助けられない母親の心配を見事に体現し、胸に突き刺さる。それでも、あれだけ娘が大好きな『南総里見八犬伝』を早速一緒に読む万太郎の姿を見て、彼女は少し安心するのが良い描写だった。

 そして半年後、「峰屋」に寿恵子を連れて帰る万太郎と竹雄(志尊淳)。タキ(松坂慶子)は床に伏せているが、寿恵子の釣書を枕元において、彼女にそして万太郎に会えるのを楽しみにしている。一方、綾(佐久間由衣)は酒蔵にとって大切な「こしき倒し」のタイミングで再来した役人の相手に苦戦していた。そこに颯爽と現れた万太郎と竹雄。佐川への道中、寿恵子に万太郎の“助手”の役目を継いでほしいと相談していた竹雄だが、苦労する綾を目の当たりにすれば一層「峰屋」に残って彼女を支えたい気持ちが膨らむはず。竹雄との別れの時も、近々訪れてしまうのかもしれない。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、広末涼子、松坂慶子ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK

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