『あなたがしてくれなくても』逃げ場がなくなった2組の夫婦 “離婚”という現実に向き合う
これまでは楓よりも精神的に誠のほうが大人で、楓のほうが支えられているのだと思っていた。だが、「楓とセックスできなかったのは、男としての愛情が戻らなかったからなんだ」と楓に本音を言うときに、楓が誠の背中をさすっていたところに、もしかしたら誠も聞き分けのいい大人っぽく見せかけているだけなのかもしれないと思わされた。
みちも陽一も誠も楓も、もっと早く未熟な自分に気づくことができていれば、ここまでこじれることはなかったはず。誰かに頼って生きていきたい。ずっと子どものままで甘やかされていたい。常に自分が求められる側でいたい。周囲への影響よりも自分の思うままに突き進みたい……。きっとこうした欲求は独り身のときには当たり前に満たされていた部分だったのではないだろうか。恋人時代にも、夫婦よりも「他人」であるという認識がお互いにある分、尊重されていたかもしれない。
しかし、夫婦になれば二人三脚で人生を歩むことになる。2人だからこそ頼もしいときもあれば、1人で突っ走ってたときに比べて少々煩わしいと感じることも。それでも、走り抜いた先には「この人と結婚して幸せ」と思える日が来る、そう信じてみんな愛を誓い合う。
夫婦は「自分で選べる家族」なんて言葉がある。選べるということは、譲れない部分が相容れなければ、それがどんなに好きな相手であったとしても、結婚は難しいという結論にもなり得る。それが何十年と続く人生のパートナーになるということだ。
せっかく他人から夫婦になった2人が、また他人に戻るというのは寂しい。しかし、圭子が楓にそっと伝えた「自分の心を壊してまで一緒にいることに何の意味があるのか」という言葉もまた大切な視点だ。果たして2組の夫婦はどんな結論を出し、そして大人になることができるのだろうか。
■放送情報
木曜劇場『あなたがしてくれなくても』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:奈緒、岩田剛典、田中みな実、永山瑛太、さとうほなみ、武田玲奈、宇野祥平、MEGUMI、大塚寧々ほか
原作:ハルノ晴『あなたがしてくれなくても』(双葉社)
脚本:市川貴幸、おかざきさとこ、黒田狭
演出:西谷弘
プロデュース:三竿玲子
主題歌:稲葉浩志「Stray Hearts」(VERMILLION RECORDS)
挿入歌:稲葉浩志「ダンスはうまく踊れない」(VERMILLION RECORDS)
音楽:菅野祐悟
©︎フジテレビ
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