『ロッキー』『クリード』シリーズに貫かれるメッセージ 各作品の名台詞とともに紐解く

『ロッキー』シリーズに貫かれるメッセージ

映画『クリード チャンプを継ぐ男』予告編【HD】2015年12月23日公開

 『クリード チャンプを継ぐ男』では、ロッキーがアドニス・ジョンソン、後のアドニス・クリードを鏡の前に立たせてこう伝える。「体を斜めにして構えろ。お前をにらんでる。手強い相手だ。リングに上がるたびにお前と対戦する。これはボクシングでも人生でも同じだ」。そしてもう一度、繰り返す。「大事なのはリングに何を残し、何を得るかだ。分かるか? プライド、ベストを尽くし戦ったかどうか。俺や父親のためじゃない。自分のために」。

映画『クリード 炎の宿敵』本予告【HD】2019年1月11日(金)公開

 一方、『クリード 炎の宿敵』では、ドラゴの息子、ヴィクター・ドラゴ(フロリアン・ムンテアヌ)への憎悪を剥き出しにするクリードに対してロッキーは「戦う価値はない。無意味だ」と諭す。その後、ロッキーとともに砂漠での猛トレーニングを乗り切り、ヴィクターとの死闘を制したクリードは、亡き父アポロの墓前でこう話しかける。「倒したよ。敵討ちじゃない。恨みでもない。俺の戦いだからだ」。

 勝敗は関係ない。因縁も憎悪も関係ない。貧しいかどうかさえ関係ない。ただ、自分ができるか、できないか。やりきれるか、やりきれないか。闘争心を燃やせるか、燃やせないか。『ロッキー』の魂はそこにしかないんじゃないだろうか。うまくいくかどうかはわからない。だけど、やりきることができれば、俺は負け犬なんかじゃないんだ、と。これは『ロッキー』の脚本を書いていたスタローン本人の気持ちでもあった。

 『クリード 過去の逆襲』でも、クリードは自分自身と戦うことになる。敵として立ちはだかるデイムも“もう一人の自分”だと言えるだろう。クリードは自分自身に勝つことができるのか。そしてもう一つ新しい要素として、クリードは自分を“許す”ことができるのかが作品の中で語られている。どのような物語で、どのような結末を迎えるかは、スクリーンで確かめてほしい。

■公開情報
『クリード 過去の逆襲』
全国公開中
監督:マイケル・B・ジョーダン
製作・原案:ライアン・クーグラー
出演:マイケル・B・ジョーダン、テッサ・トンプソン、ジョナサン・メジャース、ウッド・ハリス、フロリアン・ムンテアヌ、ミラ・ケント、フィリシア・ラシャドほか
配給:ワーナー・ブラザース映画
©2023 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved.
CREED is a trademark of Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved.
公式サイト:creedmovie.jp

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