『波よ聞いてくれ』“良い話”では終わらせない面白さ 人生を好転させ続けるミナレの存在

『波よ聞いてくれ』は良い話では終わらせない

 人様に喜んでもらえることがしたいと突然ボランティア心に火がついたスープカレー店『VOYAGER』店長・宝田(西村瑞樹)。定休日に老人ホームの近くで屋台を出店することになったが、人手が足りず、ミナレは無理やり潤一をスタッフとして参加させる。来てくれたお客さんからの感謝が潤一の自信に繋がり、彼が一歩を踏み出すきっかけに……となれば良い話でまとまったが、潤一がコンプレックスを克服したのは老人を見て「流石にこの人らには勝てそう」と思ったからだった。

 自分より弱い立場の人を見つけて優越感に浸る潤一の人間性はさておき、きっかけは何でもいいのだろう。重要なのは一歩踏み出す勇気。麻藤が言うように、その背中を押してほしくて人々はラジオパーソナリティーという自分とは少し離れた存在に救いの手を求めるかもしれない。本人は無意識だが、当初の宣言通りミナレの番組は人生を挽回したい人たちのリハビリに繋がっている。

 久連木が放送事業としてラジオがテレビに優っているものとして以前挙げた「自由度の高さ」、「反応の速さ」が何よりもミナレの番組『波よ聞いてくれ』の魅力となり、ラジオ業界の最大イベント「ジューンブライド・ラジオ」の最終候補に選ばれた。そんな最中、ミナレが暮らす地域で大地震が発生。今度は「地域密着性」と「災害への対応力」が求められることとなる。不安に怯える人々にミナレは何を語りかけるのか。ラジオの真価が問われる。

■放送情報
『波よ聞いてくれ』
テレビ朝日系にて、毎週金曜23:15〜0:15放送
出演:小芝風花、片寄涼太、原菜乃華、中村ゆりか、平野綾、西村瑞樹(バイきんぐ)、井頭愛海、中川知香、小市慢太郎、北村一輝ほか
原作:沙村広明『波よ聞いてくれ』(講談社『月刊アフタヌーン』連載)
脚本:古家和尚
演出:住田崇、片山修、植田尚
音楽:林ゆうき、山城ショウゴ
エグゼクティブプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)
プロデューサー:高崎壮太(テレビ朝日)、神通勉(MMJ)
制作:テレビ朝日、MMJ
©テレビ朝日
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/namiyo/

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