『Dr.チョコレート』『恋は光』にみる西野七瀬の“説得力” 悪役以外の演技も深みを増す
『Dr.チョコレート』で西野が演じているのは、Dr.チョコレートの正体を追う東都新聞社の敏腕記者・奥泉渚。第1話ではDr.チョコレート(白山乃愛)とTeacherこと野田哲也(坂口健太郎)の2人が搭乗する飛行機に偶然居合わせたことから、Teacherに接近。奥泉はDr.チョコレートの正体を追うため、Teacherは事件の黒幕を知るためという“ギブアンドテイク”の関係で行動をともにするようになる。西野は渚について「常に事件について考えたり、誰かと連絡を取ったりしている。ちゃんと休めているのか心配になるけど、自分がやるべきことに対して突き進んでいくのが奥泉のスタイルなのかなって」と印象を語り、自分とは正反対の性格であると明かしていた(※)。まさに西野がこれまで演じてきたギャップを感じられる役ということになる。
第5話ではついに渚はDr.チョコレートの正体が唯であることを突き止めた。唯と一緒に日本に帰ってきたことを間違いだと語る哲也に対して、寄り添う素振りを見せながらもDr.チョコレートの正体が唯であると詰め寄るシーンでは、たとえ恋心を抱いている相手に対しても、信念を曲げることなく淡々とセリフを重ねていく。その相手を責め立てる力強い目線と、一方では好きという感情を隠しきれない表情のせめぎ合いが素晴らしく、日に日に演技の説得力が増しているなと感心させられた。
思い返せば、乃木坂46ではセンターを経験するなど、まさにグループの中心にいたわけだが、俳優としては主演作が多いわけではない。それでもこれほどまでに多くの作品に出演して視聴者の心に残るような存在感を放っているというのは、西野が“かつて乃木坂46だったから”ではないはずだ。西野がしっかりと俳優という職業へと向き合い続け、経験を積み上げてきたから今がある。もはや彼女には「悪役」や「元アイドル」というレッテルは必要ない。
渚はDr.チョコレートを暴くという目的のためならば、時には危険を冒しながらガツガツと人の懐に入ってくる人物。一見すると、まっすぐで純粋そうなイメージが付きまとうが、西野の表情からはまだ隠された闇の部分があるような気がしてならないのだ。秋元康企画・原案のドラマということもあって、最後の最後までキーパーソンとなる可能性は否定できない。
さらに、西野が主演を務めるHuluオリジナルストーリー『新聞記者・奥泉渚と疑惑の女たち』が配信されることが決定した。『Dr.チョコレート』は西野の新たな代表作となるのか。29歳となり、俳優として説得力に磨きがかかった西野は、これからも自身の俳優像を更新し続けていくだろう。
参考
※『TV station』関東版 2023年 5/27号
■放送情報
『Dr.チョコレート』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00〜放送
出演:坂口健太郎、白山乃愛、西野七瀬、葵わかな、鈴木紗理奈、前田旺志郎、古川雄大、小澤征悦、斉藤由貴ほか
企画・原案:秋元康
脚本:渡辺雄介
チーフプロデューサー:田中宏史
プロデューサー:藤森真実、岩崎広樹、本多繁勝
演出:佐久間紀佳、南雲聖一、宮下直之
制作協力:日テレアックスオン
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/dr-chocolate/
公式Twitter:@drchocolate_ntv
公式Instagram:@drchocolate_ntv