アイドルを応援することは“呪い”なのか 『劇場版 推し武道』に詰まった愛しさと切なさ

『推し武道』に詰まった愛しさと切なさ

 ファンはアイドルのことを「一生応援する!」「いつも観ているからね!」「早く会いたい!」など、惜しみない愛を注ぎますが、その言葉はときに“呪い”となることがあります。ファンのために、もっと我慢しなくちゃ、もっと頑張らなきゃ……。当然ではありますが、一生アイドルとし活動し続けることはできないし、ファンにとってはただ一人のアイドルでも、アイドル側からすればたくさんいるファンの一人。ファンの思いが歪んだ形で最悪の展開が描かれたのが『【推しの子】』第1話だったように、どうしたってそこには危うさがあるわけです。

 ただ、そんな危うさを飲み込んだ上で、本作にはファンとアイドルの最も幸せな時間が丁寧に描かれていきます。応援すること、それに応えること。同じ思いを共有して、過去の自分とは違う自分になることのなんと幸せなことか。終盤にやってくるライブシーンのために、本作はあるといっても過言ではありません。ファンもアイドルも、心のどこかで「この時間は永遠ではない」と理解しているからこそ、そのとき、その瞬間にしか観ることができない、ひとつのステージ、楽曲が輝くわけです。

 過去にアイドルにハマったことがある人はもちろん、何かしらの“推し”がある人は、本作を観て胸が痛くなることもありつつも、熱くなること間違いないかと思います。ライブシーンを堪能するためにも、映画館での鑑賞がオススメです。

■公開情報
『劇場版 推しが武道館いってくれたら死ぬ』
公開中
出演:松村沙友理、中村里帆、MOMO(@onefive)、KANO(@onefive)、SOYO(@onefive)、GUMI(@onefive)、和田美羽、伊礼姫奈、豊田裕大、ジャンボたかお(レインボー)
監督:大谷健太郎
脚本:本山久美子
原作:平尾アウリ『推しが武道館いってくれたら死ぬ』(COMICリュウWEB/徳間書店)
音楽:日向萌
製作:「劇場版 推しが武道館いってくれたら死ぬ」製作委員会
配給:ポニーキャニオン
©平尾アウリ・徳間書店/「劇場版 推しが武道館いってくれたら死ぬ」製作委員会
公式サイト:oshibudo-movie.com
公式Instagram:@oshibudo_abc
公式Twitter:@oshibudo_abc

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「週末映画館でこれ観よう!」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる