『らんまん』万太郎にとって植物は“命そのもの” 大東駿介演じる倉木にも届く静かな気迫
『らんまん』(NHK総合)第28話で、万太郎(神木隆之介)と竹雄(志尊淳)は、倉木(大東駿介)が植物標本を燃やそうとする現場に遭遇した。万太郎は「あっ! も、も、も……燃やすな!」と必死に止める。「頼むき。わしには大切なもんながじゃ」と懇願する万太郎を尻目に、倉木は「なら、買い取れ」と言い放った。倉木の物言いに竹雄が憤り、「おまんが盗んだがじゃろうが! ぬすっとが何言いゆう!」と声を荒くするが、倉木は白けた目つきのままだった。
第28話は、植物標本を取り戻すために勇気を奮う神木の演技も魅力的だが、ガラが悪いだけではない雰囲気を漂わす大東の演技にも心惹かれる回となった。
大東駿介、“裏の顔”を持つ演技の巧みさ 『らんまん』では神木隆之介を洗礼する輩に
「ドクダミの匂いじゃ。日が当たらん証拠じゃ」 そう言いながら今にも壊れそうな建物の奥へと進んでいく万太郎(神木隆之介)と、匂…
倉木を演じている大東の佇まいからは、次に何をしでかすか分からない物騒な雰囲気が漂う。そんな倉木に、万太郎は植物標本を取り戻すために立ち向かった。序盤の万太郎は倉木に対して下手に出ていた。倉木の風貌に怯んでいるようにも見える。植物標本を取り返したい万太郎は、金を払うから返してほしいと交渉した。大金をせびる倉木に、万太郎は倍以上の額を支払うと言い放った。冷めた表情の倉木も思わず体を起こし、万太郎を見る。
「ただし標本は完全なもんじゃないといかん。紙はえいけんど、植物がちっとでも傷ついたら。わしは払わん」
万太郎は植物標本の価値を説くが、長屋の人々や倉木にはその価値が理解できない。「金が先だ」と言い張る倉木は、万太郎を脅すつもりか植物標本を火にくべようとした。万太郎が「見くびるな!」と倉木に迫る。
「おまんが……おまんが燃やそうとしゆうがはわしの命そのものじゃ! 出すと言うたら出す。けんど一枚でも損のうたらわしは出さん!」
万太郎は「返しや!」と声を張り上げた。倉木と対峙する万太郎だが、態度や表情を変えない倉木とは対照的に、微かに震えていた体や固唾を呑む様子から、万太郎が勇気を奮って倉木と対峙したことが分かる。