北村匠海が木村拓哉の運命を変える 『教場0』最重要人物、遠野章宏を心して見よ

『教場0』北村匠海が木村拓哉の運命を変える

 2020年と2021年にフジテレビ系で放送された『教場』『教場II』で警察学校教官だった風間公親(木村拓哉)は右目が義眼であった。その傷は刑事時代に職務質問したある不審人物を取り押さえようとした際に負ったものだという。その時、風間にはバディがいたのだが、彼は背後から襲われ、千枚通しで首元を刺されている。そのバディこそ『風間公親-教場0-』(フジテレビ系)の第5話に登場する遠野章宏(北村匠海)である。

 指導官として新人刑事を指導する風間のもとへやってきた遠野は、子どものころから警察官になることを夢見ており、警察学校も優秀な成績で卒業していた。風間道場で指導を受けることになったのも、警察学校の校長・四方田秀雄(小日向文世)からの強い推薦があったため。どうやら遠野は周囲から大いに期待されているようだ。風間は、後輩刑事たちに自分で考えることを促すが、遠野はすでにそれができている様子。風間とともに大学教授で地理が専門の梨多真夫(野間口徹)の変死体が見つかった現場に臨場した遠野は、梨多はテラスから写真を撮ろうとして誤って転落した事故死の可能性があるという報告を聞くと「教授の身になってみます」と言ってテラスの柵から乗り出し、カメラを構えた。するとすぐに「殺人です」と言い出したのだ。今まで、新人刑事たちの弱点をきっちり見抜いて指導してきた風間は、こんな優等生である遠野をどのように指導していくのだろう。

 風間の過去を描く上で最重要人物といえる遠野を演じるのは、近年、様々なドラマや映画で存在感を見せている北村匠海。2023年1月から放送されたドラマ『星降る夜に』(テレビ朝日系)では生まれつき耳が聴こえない遺品整理士・柊一星を好演。障がいがあろうとも人生を楽しんでいこうとする姿や、いつも鈴(吉高由里子)を穏やかな表情で見守り、言葉の代わりに全身で愛を伝えようとする姿は多くの視聴者を魅了した。

 その一方で北村は、大人気マンガの実写版で、現在2作目となる映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』が公開中の『東京リベンジャーズ』シリーズで、不良のタケミチを演じている。タケミチはかつての恋人が殺害される運命を変えるべくタイムリープをするのだが、その過程で暴走族チームで成り上がるため、同じ不良たちをボコボコに殴り、時には自分自身も血まみれになりながら強くなっていく。そんな性格も境遇も全く違う2人だが、どちらもふと憂いを帯びた表情を見せる時があり、そこに思わず引き込まれてしまうのだ。

 誰の中にも、他人には隠しておきたい暗い気持ちや弱気な部分があるはずだ。北村が見せるちょっと悲しげな表情は、それをうっすらと感じさせるような気がする。だから、人生を謳歌しているように見える柊にも、拳一つで強くなっていく武道にも、「違う一面があるのでは?」と思わされ、そのキャラクターの人間味がグッと増していくのだ。

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